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2013年度新規助成団体 BIG ISSUE掲載記事

一人ひとりに寄り添った子育て支援を展開。
”人が生きるために当たり前のこと“をコーディネート
-NPO法人 いわき緊急サポートセンター

東日本大震災、原発事故が生む軋轢や近所づきあいの希薄化で、孤立感を深める子育て世代。
その事情に寄り添い、子ども一時預かりから電話の育児相談、拠点を構えての対面相談、サロン開催、就労支援へと活動を広げる「いわき緊急サポートセンター」。
理事長の前澤由美さんに、その取り組みを聞いた。

一時預かりや病児保育 出産前後のサポート、育児相談
対面サポートは年間521件

画像:理事長 前澤由美さん 理事長 前澤由美さん
写真:子どもたちを一時預かりしている様子子どもたちを一時預かりしている様子

いわき緊急サポートセンターは2010年、任意団体として設立された。看護師の資格をもち、現在理事長を務める前澤由美さんによれば、厚生労働省の委託事業「病児・緊急預かり対応基盤整備事業」のスタッフ養成研修会がきっかけで、中心となったのは、参加した保育士や看護師、元教員やヘルパーの資格をもつ地域の人々だ。事業の終了に伴い「誰かがやらなければ、いわきで子育てに困った時に頼るところがない」との危機感から活動をスタートしたという。

現在はNPO団体として、子どもの一時預かりや病児保育、出産前後のサポート、育児相談などを行っている。スタッフは子育て経験のある女性を中心に約10人。「仕事で得た知識を役立てたい」という元臨床検査技師もいれば、「3人の子育てが一段落し、また小さい子と触れ合える喜びを噛みしめている」という主婦もいて、みな一様に「子どもから教わることのほうが多い」と口をそろえる。

利用者は事前に会員登録を済ませ、たとえば一時預かりであれば1時間800~900円の利用料金を払ってサービスを受ける。
「ここでは、お母さんが働いているかどうかは問わないし、子どもを預けたい事情も深くは聞かない。たまには、昼寝や美容室、友達との情報交換や息抜きをしたいというお母さんだっている。それだけで明日から笑顔になることができて、子どもにも優しくなれるなら、私たちは応援したい」と前澤さんは言う。

ほかにも、「具合が悪いのですぐにお迎えに来てほしい」と保育園から呼出を受けたら、「なかなか仕事を抜けられない」「自分も体調が良くない」と言うお母さんに代わって子どもを迎えに行ったり、「入院の付き添いを少し交代してほしい」「早朝出勤・出張になった」「学校(保育園)が休みで預かってもらえるところがない」「陣痛時に上の子を頼みたい」「シングルなので就活したい」など、子どもの一時預かりと親支援であらゆるケースに対応している。

昨年度、実際に対面したうえで行ったサポートは521件。電話対応などを加えると、その3倍にはなるという。

被災後1ヵ月、鳴り続けた電話
〝最後の砦〟、拠点の開設を決意

写真:子育て支援者研修会子育て支援者研修会

いわき緊急サポートセンターが活動拠点としている福島県いわき市は、福島第一原発から約25~60キロの位置にある。そのため、11年3月11日の東日本大震災に伴う原発事故を受けて、いわき市は「放射能による低線量被曝や土壌汚染、風評被害など、複合的な災害がからみ合った地域」となり、あちこちで軋轢を生んだ。
「当時いわき市には、原発立地地域から約2万4千人もの被災者が避難してきましたが、彼らは『自分たちだけ賠償金をもらって』と妬まれるのを恐れて、避難者だと言えずに孤立していました。逆に、いわき市から他へ避難して戻ってきた人の中にも『地元を見捨てて逃げた裏切り者』の視線を受けた人がいました。普通に考えれば怖くて逃げるのは当然です。戻って来てくれて歓迎なのに、地元に残っていて不安だった人は、その気持ちを避難者にぶつけてしまったのでしょう」

震災から1ヵ月は、夜も眠れないほど前澤さんが携帯する子育て支援の電話は鳴り続けた。「行政の発表では何もわからない。原発はどうなっているのか」「子どもはここにいても安全なのか」と投げかけられる問いに、前澤さんはわからないことは「わからない」と答え、県外に出られる人には「ここで心配して悩むよりは出ることもいい」と勧めた。傾聴と共感に徹し、悩みが一つだとそれに固執してしまうので「ほかに困ることはありませんか?」と、あえて意識を分散させる工夫もした。

そんな状況にありながらも、3月19日からは支援物資の配送や自衛隊の道案内、避難所や公民館での健康チェックといった被災者支援に協力。翌12年12月には、いわき市が運営を始めた外で遊べない子どもたちのための屋内遊び場「ふるふる」「もりもり」にもスタッフを派遣した。

電話での相談も継続していたが、なかには「会って相談したい」と希望する人もいて、そんな時は公民館などを借りた。前澤さんの自宅を事務所としてきた活動に限界を感じ、13年9月には支援拠点「アステール」を小名浜に開設。年に60~70万円かかる維持費は、前澤さんの自主財源を充てた。

継続が危ぶまれるなか、「『ここが最後の砦です』と駆け込んでくる被災者もいるし、寄り添ってもらえる安心感は電話では得られない。支援拠点を閉鎖するわけにいかない」と、ファイザープログラムに応募。現在は助成を受けながら、心理相談員3名とスタッフたちが交代でサロンを開催している。

「ママ」「気がかりさん」「MENS」の交流サロン
就業支援、保護からの自立も

写真:スタッフのみなさん。中学生の利用者とともにスタッフのみなさん。中学生の利用者とともに

読み聞かせや手遊び歌などを通して、母親たちと支援者の交流を促す「MAMAサロン」、子どもの障害、仕事と育児の両立などに不安を抱えた人の相談会「気がかりさんサロン」、中堅世代の男性の健康相談やストレスをチェックし、充実した仕事を促す「MENSサロン」。この3つのサロンを毎月1回ずつそれぞれ開催。それ以外の日に予約制の個別相談にも応じている。
「事前の会員登録が必要な一時預かりとは違って、サロンでは名前も住所も本人が話せる範囲でしか聞きません。詳細を明かした後で不安になったり、自己嫌悪に陥らないよう配慮します」

最近は原発に対する不安に加え、精神疾患を抱える人も多く訪れる。
「夫が統合失調症で入退院を繰り返して働けず、ご自身もうつ病という母親に『あなたは、ヘルパーさんに頼めば月30万円はかかる家事と育児という立派な仕事をしている。疲れた時は一時預かりを利用していいですよ』と言葉をかけた。親子で元気になれそうな絵本を渡したら、涙を流されていました」

サロンでの活動は育児相談にとどまらず、助成2年目には就労支援にまで発展した。
「就労支援では、家庭訪問をして本人や家族と面談後、就職を希望する会社の社長に面談に行くこともあります。頼れる身内がいない人の場合、私たちができるかぎり子育てをバックアップすると会社に伝えることで、採用が決まるケースもあるからです。要するに、どこの地域にも昔はいた〟おせっかいおばさん〟ですね」と前澤さんは笑う。

すでに、生活保護を受給していた5、6人が就職先を決め、自立しているという。

さらに「支援を受けて、今度は誰かの役に立ちたい気持ちになったら、家庭や地域力に目を向け、知識や体験を積み重ねていくことも大切」との考えから、必要な知識と技術を身につける支援者研修会や保育士資格取得の勉強会なども開催している。
「自閉症と多動を抱えるお子さんの育児に落ち込むお母さんに『その経験は必ず、同じ悩みの人に役立つので、一緒に勉強しましょう!』と言ってスタッフ養成の研修会に誘ったら『わが子へのかかわり方が理解できるようになった』と生き生きとされていました。人はやるべきことが決まったら悩まなくなるものです。私は看護師なので『食べてますか?』『眠れてますか?』と声をかける。今ある命と健康の応援しかできませんが、それこそが大事だとわかりました。これからも健康、保育・教育、就労といった〝人が生きるために当たり前のこと〟をコーディネートしていきたいです」

NPO法人 いわき緊急サポートセンター

2010年、任意団体「いわき緊急サポートセンター」設立。13年、NPO法人に。子どもの一時預かりや病児保育などのサービスを提供することで子育て家庭をサポート。社会資源の紹介や生活コーディネート、子育てコンシェルジュの役割も果たす。賛助会員、随時募集。

TEL : 080-6055-1099
E-mail : iwakikinsapo@gmail.com
ホームページ : http://iwakikinsapo.jimdo.com/

※名称・団体名はTHE BIG ISSUE掲載当時のものです。

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