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2002年度アエラ掲載記事(団体活動内容)ご紹介

精神障害者の社会参加を考える
《意見交換会》─2

写真:山岡義典日本NPOセンター常務理事

山岡義典
日本NPOセンター
常務理事

写真:清水幹夫法政大学教授

清水幹夫
法政大学教授

精神障害者が主体的に社会参加を果たしていくために、精神障害の当事者・スタッフ・家族はどうあるべきか。3者が集まり、意見を交換していただいた。

【出席者(順不同)】
司会/山岡義典(日本NPOセンター常務理事・法政大学教授)
清水幹夫(法政大学教授)
札精作連(常盤野晴子さん、菊地岳生さん、佐藤大志さん、八田哲広さん)
SAN Net青森(代表根本あや子さん、狭間英行さん、小形愛子さん)やどかりの里(常務理事増田一世さん、香野英勇さん、黒崎夢さん、佐々木千夏さん、長谷川健一さん、辰村泰治さん)
ふれあいセンター(高瀬兼治さん、濱川久美子さん)
もくせい会(会長飯塚寿美さん、斉藤光恵さん、吉田文一さん、小澤奈津子さん)
兵庫県高齢者生活協同組合(香木明美さん、渡口泰子さん、藤田修美さん、貞丸けい子さん)

職員主導から当事者主導への切り替え

山岡 今回は精神障害当事者の社会参加における主体性、当事者性ということをキーワードにして皆さんのご意見をうかがいたいのですが、まず「やどかりの里」ではどんなふうにお考えですか。
香野 職員主導から当事者主導への切り替えに向けてどうあらねばならないかというとき、当事者主導が実は職員の側から始まるということがあります。そのことをちゃんと意識して当事者である自分たちがどう動いていくかを考えなければいけない。職員も家族も当事者の主体性ということを口にして、いろんなことをやろうとするけど、当事者としてはあんまり余計なことをやってもらっても困るということがあるんです。僕の体験からいうと、僕がひきこもりから出ていったのは、母親が風邪で寝込んでしまったときに、自分でやらざるを得なくなったことがきっかけでした。これが強い母親だったら出ていけなかったかもしれない。そのあたりは難しいんですが、やはり誰が主役なのかということですよね。

写真:常盤野さん、菊地さん、佐藤さん、八田さん

札精作連 (右から)常盤野さん、菊地さん、佐藤さん、八田さん

山岡 当事者の主体性が職員の側からの発想だとしたら、それは本当の主体性なのかということですね。非常に重要な指摘だと思います。「札精作連」ではどうですか。
八田 うちでいいと思うのは、メンバー(当事者)とスタッフの運営会議というのがあって、誰の意見も平等なんです。なかなか意見が統一されなかったり、喧嘩になったりすることもあるんですが、必ずメンバー一人ひとりの意見を聞いて、最後にミーティングで話し合う。札幌市内の精神障害者の作業所マップづくりを行っていますが、僕がどこかの作業所を見学に行きたいと思ったら自分でアポを取らなければならない。スタッフはどうこうしろとはいわないから自分でやらざるを得ないんです。デイケアや病院というのは当事者と職員の線引きが根強い半面、何でも職員がやってくれたりしますが、うちの場合はメンバー主体で動かされているという感じがしてすごいなと思います。
辰村 20年以上も病院にいると、何も求められないので、主体性というものがなくなってしまうんですね。
根本 SAN Net青森ではNPO法人として役員の半分以上は当事者です。そういう意味でも当事者と一緒にやっているという意識は強いのですが、私たちが大切にしていることは、物事を決めるには決める場所があるというルールをみんなに確認しあうことです。たとえば誰かがここに自分の絵をかけたいというとき、それは誰かが勝手に決めるのではなく、週1回のスケジュールミーティングの場で決めましょうと、そういうルールで健常者も障害者も同じ場所で力を合わせていきたいと考えています。
山岡 お互いの垣根を取り払うことで当事者の主体性が生まれてくるという考えですね。兵庫県の高齢者生活協同組合ではいかがですか。
渡口 私はピアヘルパーという方法を重要視していきたいと考えています。私たちには当事者としての体験があるわけで、体験者でなければ分からないことがある。それを今もっと大変な人のために、ピアヘルパーというかたちで活かしたい。そのためには2級ヘルパーの資格と上乗せ講習を受けていることが必要です。また、この資格を持っていることで、高齢者にも障害者にも「プロのヘルパー」としてケアを提供できるのです。

行政をどうやって動かすか

写真:意見交換会の様子

高瀬 それに関連していいますと、私たちの今年度の事業として当事者を対象にホームヘルパー3級の養成講座を週1回、4カ月にわたって開きます。実はこれに精神障害者のホームヘルパーを上乗せ講座として行いたかったのですが、沖縄では県の委託がないとできない。民間が自由に参入できないんです。兵庫県ではそのあたりはどうなっていますか。
香木 神戸市では「こころの健康センター」いう市の精神保健福祉センターで、上乗せ講習の企画と実施も行っていました。私たちもピアヘルパー講座をやりたいと申し出ましたが、当初は民間のやることにセンターは関わりませんということでした。きちんとした修了証を出したいので、市が認可したものでぜひやらせて欲しい、と何度かお願いし、ようやく、行政のみが行うことになっていた上乗せ講習を民間ができるように、市の実施要項を改正してもらいました。今では、すでにサービスを提供しているヘルパーさんのフォローアップ研修を行いたいので、市で年に2回実施していた上乗せ講習を1回にし、ついては高齢者生協で継続的に上乗せ講習をやって欲しい、という話になってきています。

写真:香木さん、渡口さん、藤田さん、貞丸さん

兵庫県高齢者生協
(右から)香木さん、渡口さん、藤田さん、貞丸さん

山岡 「もくせい会」のほうでは何かありますか。
吉田 埼玉県のなかでも旧浦和市、与野市というのは施設などの面で社会的な資源不足のところでして、私たちがこれからそれを作っていかなければならないというときに、われわれ職員や家族は当事者に対して過保護であってはならない、やはり当事者を前面に押し出しながら強力にサポートしていかなければならないということを痛感しております。
香野 当事者との距離をちゃんと取りながらパートナーシップができることで、当事者と支援者がお互いに学んでいけると思うんです。一例をあげると、長崎にいる精神障害者の友だちがホームヘルパーの資格を取って、仕事が決まったんでこれから働きに行くというんで、どこへ行くのって聞いたら親父のところだという。要するに自分の家でヘルプをするわけですが、これは決して笑い事ではなくて、当事者と家族が一回離れたかたちで協働するということになるわけです。そうした経験を積んでいくうちに一般の高齢者のお宅をヘルプできるようにもなるんじゃないかと思うんですね。

写真:高瀬さん、濱川さん

ふれあいセンター
(左から)高瀬さん、濱川さん

写真:増田さん、黒崎さん、佐々木さん、香野さん、長谷川さん、辰村さん

やどかりの里 (左から)増田さん、黒崎さん、佐々木さん、香野さん、長谷川さん、辰村さん

写真:根本さん、小形さん、狭間さん

SANNet青森
(右から)根本さん、小形さん、狭間さん

意識改革の重要性と困難さに立ち向かう

山岡 ほかに家族と当事者の関係で発言がありましたらどうぞ。
斎藤 香野さんのおっしゃることは良くわかるんですが、施設に行ける、ある程度作業に参加できるという人というのは、家族からいわせれば幸せな人なんです。私たちはそこに繋がらない人たちのことをすごく思うわけで、とにかく月に1回、親に付き添われてでも行ける場所があるだけで家族も本人も安定する。そのために親は必死でサポートするわけで、またそれをフォローするのが家族会の役目だと思うんです。
小澤 斎藤の気持ちを補足していうと、家族なり家族会なりがどこで手を離すかというところを見誤らないようにしていかなければならないと思います。そのためには当事者が発信できるような雰囲気づくりをするとか、本人に能力があることを家族にわからせるといったことが必要になってくると思います。
山岡 最後に清水先生からご感想を伺いたいと思います。

写真:飯塚さん、斉藤さん、吉田さん、小澤さん

もくせい会
(右から)飯塚さん、斉藤さん、吉田さん、小澤さん

清水 私の専門は臨床心理学・基本的臨床学という領域で、精神障害当事者の地域参加ということでは専門外ですが、皆さんのお話を聞いてまず感じたのは、当事者がいろいろなことに積極的に関われる環境をつくること、それが非常に大事なんだなということです。当事者が何かをやって、それが評価されることで心理学でいうところの自尊感情、自分を新しく見直すという意識が生まれてくる。そういう関わりをいつも見守って支えていく人たちがいるということの大事さですね。それから兵庫県高齢者生協の方が行政のあり方を変えたという話をされていましたが、自分たちのやっていることを行政を含めてきちんと地域に伝えていくことは重要だと思います。それともう一つは、やはり組織というのは長くやっているといろんな意味で危機を迎える。それを乗り越えるために社会目標をしっかり踏まえながら意識改革をどう行っていくか。その重要性と困難さのなかで、皆さんが大変な努力をされているということがよくわかりました。

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