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2003年度助成対象プロジェクトの概要と選考委員会推薦理由

「ファイザープログラム - 心とからだのヘルスケアに関する市民活動支援」
2003年度助成対象プロジェクトの概要と選考委員会推薦理由

■ 新規助成

(1)高機能広汎性発達障害児者の発達支援サポート事業

北海道高機能広汎性発達障害児者親の会(通称ドンマイの会)
・ 代表者:村田昌俊
・ 主な活動地域:北海道旭川市、札幌市

[推薦理由]

高機能広汎性発達障害と診断された子どもをもつ親たちが集まり、障害ついての社会的認識を広め、子どもたちの自立に向けたプログラムや就労などの社会参加に向けた環境整備に取り組む団体。
高機能広汎性発達障害児者の支援については、生活、教育、就労などのそれぞれの場面で求められる支援を見極める、地道な取り組みが求められている。今回のプロジェクトについては、本人活動を土台にすえていること、すなわち、本人の意思の尊重が支援の出発点となっているところに意味がある。高機能広汎性発達障害も、その人の特徴の一つとしてとらえたい。この障害があることから生じる生活のしにくさへの手立てや関わりのあり方をより明確にし、一人ひとりの潜在する力を引き出し、その人らしい自立をめざす支援の雛形となる事業展開をお願いしたい。教育、福祉、就労支援などの変化の時代でもあることから、ここに一石を投じる成果を期待する。

(2)ガザ地区における少年を対象とした心理社会的ケア事業

特定非営利活動法人地球のステージ(英語名Frontline)
・ 代表者:桑山紀彦
・ 主な活動地域:パレスチナ・ガザ地区、日本国内

[推薦理由]

世界の貧困地域や紛争地域で医療支援活動を行い、その映像記録をもとに国際理解講座を開催する活動を行なってきた団体。
パレスチナ問題の政治的解決は暗礁に乗り上げているが、他方、そこには日々の戦乱の中で傷つき、絶望し、怒りと憎しみの中で育っていく子どもたちがいる。本プロジェクトはこうした子どもたちに対して遊戯療法、集団療法、作業療法、コミュニケーションワークショップなどを現場の状況に合わせた形で提供し、子どもたちのトラウマを癒し、豊かな心を持ってもらおうというものである。イスラエルへの憎しみ、殉教、聖戦などといった感情や観念が蓄積されるに任せるのではなく、日常をほんの少し変えてやり、こころの平和を取り戻すことを助け、長い目でみた平和への貢献を目的とするもので、政治とは全く対照的な平和へのアプローチとして推薦する。

(3)PTSDを抱えた養育者への生活支援者養成講座

子ども虐待防止ネットワーク・みやぎ(通称キャプネット・みやぎ)
代表者:相澤宏邦
主な活動地域:宮城県

[推薦理由]

キャプネット・みやぎの電話相談や保健センターから紹介を受けた虐待問題を抱える母親を対象にしたグループ・セラピーを週1回の割で継続をしてきている団体。
これまでは、虐待の自覚のある母親のケアを中心に活動をしてきたが、これらの活動を踏まえて、生育歴、借金苦、DVなど虐待の背景にある多重問題の関わりのある家庭に直接出向き、炊事、選択、掃除、保育園の送迎など基本的な生活支援をしながら子どもの家庭環境の立て直しをする人材育成をしようとしている。医師や弁護士が加わるなど、実施メンバー、共同・協力団体共に整っているので推薦したい。

(4)精神障害者ピアホームヘルパーガイドラインの作成

特定非営利活動法人茨城県精神障害者地域ケアー研究会
・ 代表者:吉田昭久
・ 主な活動地域:茨城県

[推薦理由]

精神障害者の生活支援に関する調査研究や研修講座を実施しながら、我が国の精神福祉への寄与を目的に活動している団体。
2001年の「精神障害者対応ホームヘルパー研修ガイドライン」の作成に引き続き、精神障害者による精神障害者に対するホームヘルパー(ピアホームヘルパー)の派遣、ホームヘルプ実施後の振り返りからピアホームヘルプ活動の支援課題を明確化し、ピアホームヘルパーガイドラインの作成を行おうとするユニークな事業。実地メンバーが充実しており、ピアホームヘルパーの共同・協力団体もあるので推薦したい。

(5)ディファレント アートティスト イン レジデンス運営事業

特定非営利活動法人自然生クラブ
・ 代表者:柳瀬敬
・ 主な活動地域:茨城県つくば市

[推薦理由]

筑波山麓の農家で障害をもつ人たちと共同生活を行いながら、有機農業を中心とした環境運動に取り組み、生活の中から編み出された太鼓演奏や絵画・演劇などの表現活動に取り組む団体。
今回の取り組みは、知的障害者や自閉症者・精神障害者との共同生活の中で感じる彼らの表現力の魅力や活力を、全く言葉が通じない海外からのアーティストとの共同生活や創作活動によって、新たに見い出そうという試みである。地元の農家に滞在しながら、大谷石で建造された米蔵を再利用した劇場で行われる創作活動が地域に公開され、より多くの人たちにも伝播される点に注目した。

(6)福祉と教育の間に置かれた不登校児への生活支援

特定非営利活動法人彩星学舎
・ 代表者:垣花卓信
・ 主な活動地域:埼玉県

[推薦理由]

さまざまな学習ニーズをもつ子どもたちに開かれたもう一つの学びの場を提供し、体験やイベントを通じて学習に取り組む団体。
複雑化した現代社会の様相は、子どもの育ちにも否応なく大きな影響を与え、その一部は学齢期にあっては不登校という形で顕在化する。不登校の背景や要因は多様であろうが、解決のための課題として、他者との関係の中で自己肯定観を育み、自立していくプロセスへの丁寧な支援の必要性が指摘されよう。この必要性は、障害の有無や軽重を問わず、育ちの中でこのような支援を阻害されていたものすべてに共通する。彩星学舎の講座やイベントなどのプログラムは、生活に根ざした主体的な体験を重視し、他者とは違う自分を見出し、認め、自分の価値観や自分の生活をつくるための支援を目指している。幅広い対象者に提供する貴重なプログラムとして、一層の充実を期待したい。

(7)野宿者自身が作る炊き出し用のお米生産プロジェクト

フードバンク
・ 代表者:池上哉美
・ 主な活動地域:東京都他

[推薦理由]

全国各地の市民・生産者から寄付された食料などの援助物資を生活困窮者や支援団体に無償で提供すると共に交流を深めることによって相互に支えあうネットワークづくりに取り組む団体。
野宿者等の生活困窮者への支援活動として、広範な市民から寄付された物資等の供給は、これまで多くの野宿者等の生活を支援すると同時に、その生活改善に向けた活動の展開にもつながってきた。また、彼等を支援している市民団体等とのネットワークを構築し、支援物資等を効率的に活用してきた実績は評価に値する。さらに今回のプログラムは、野宿者等の命と生活の糧となるお米を野宿者自身が作ることで、炊き出し用のお米を確保しようとしており、全国の野宿者支援を行なっている市民団体に協力すると同時に、野宿者の仕事を確保するものとして期待できる。

(8)不登校・引きこもりの青少年・家族への心理援助事業

特定非営利活動法人青山心理グローイングスペース
・ 代表者:鍋田恭孝
・ 主な活動地域:東京都

[推薦理由]

思春期・青年期を専門とする精神医学・臨床心理士・教育相談員・スクールカウンセラーなどを中心とする研究会が母体となって、不登校・引きこもりの子どもやその保護者に具体的な援助活動をしている団体。
これまでウィークデーの午後を中心に活動をしてきたが、不登校・引きこもりの多様化と義務教育以降の対象者に応ずることの必要から、午前にも、学習援助の機会を設け、集団体験、社会体験のリハーサル、大検や通信制高校、大学受験への対応などの継続的な援助活動を始めようとしている。ある程度回復し始めた不登校や引きこもりの対象者に対してのサポート活動はユニークであり、実施メンバーも整っており、応募金額と自主財源のバランスもとれているので推薦したい。

(9)精神障害者の企業就労を推進するための事業

社会福祉法人おあしす福祉会
・ 代表者:平松謙一
・ 主な活動地域:東京都

[推薦理由]

地域における精神障害者の生活・就労を支援し社会参加を促進するため、地域のさまざまな社会資源をネットワーク化し、小規模授産施設などの必要な社会資源づくりに取り組んできた団体。
バブル崩壊とともに、障害者の雇用環境も悪化している。特に、法定雇用率にカウントされない精神障害者は、社会からの誤解や偏見も根強く、就労は厳しい状況にある。就労希望の当事者へのワークショップや職員の就労支援研修を実施してきたこの団体は、数年後に、精神障害者も法定雇用率にカウントされることを想定し、いち早く企業の精神障害者雇用への促進を図ろうとしている。企業の雇用担当者向けにガイドブックを作成し、企業の障害者雇用への理解を向上させるもので、一度は企業で働いた経験のある精神障害者が障害を持ちながらも働ける自信を取り戻し、生きる力を回復して、地域社会への参加が進むことを期待し、推薦したい。

(10)「アディクション・カウンセラー」養成事業

東京ダルク支援センター
・ 代表者:宇野徹
・ 主な活動地域:東京都

[推薦理由]

薬物依存症者の回復支援施設である東京ダルクを支援し、薬物依存症の回復に関する調査研究や普及啓発に取り組む医師・カウンセラー・弁護士などを中心とした団体。
薬物依存症などのアディクションからの回復には、回復者自身の努力と同時に、日常的に彼らを支える専門職が必要である。今日では、福祉相談所や保健所、心理カウンセラー等が対応しているが、専門的知識や技能を有していることは極めて少なく、有効な対応になっていないのが実情である。東京ダルクを支援してきた当センターは、薬物依存症者に対して医療面・法律面・生活面などのさまざまな視点から支援してきたが、医師・カウンセラー・弁護士などによる市民活動の実績は、評価に値する。その実績を踏まえ、アディクション相談を専門に対応する「アディクション・カウンセラー」の養成は、緊急な対応の必要性が高いと思われる。このプログラムが専門職制度への道になることも含め、期待したい。

(11)犯罪・事故・災害等による被害者の直接的支援

特定非営利活動法人大阪被害者支援アドボカシーセンター
・ 代表者:堀河昌子
・ 主な活動地域:大阪府

[推薦理由]

犯罪・事故・災害被害者の心の傷からの回復を支援することを目的に、電話相談や被害者の声を代弁し被害者支援の必要性を訴える啓発活動に取り組む団体。
これまで、電話相談や裁判所への付き添い、病院への同行サービス、自助グループの運営等を行うかたわら、支援者の輪を広げるための研修や市民講座を開催してきたが、今回は、それらの活動基盤の強化をはかるための経費について助成する。犯罪被害者等への支援への関心は近年ようやく高まりを見せているが、当センターはすでに7年以上にわたってこの課題に取り組んでおり、審査過程においても、その先駆性と活動実績が高く評価された。

(12)地域外国人の為の電話による医療通訳システム強化プロジェクト

特定非営利活動法人多文化共生センター 多文化共生センター・ひょうご
・ 代表者:野間恵
・ 主な活動地域:兵庫県神戸市

[推薦理由]

多文化共生社会の実現の目指し、在日外国人を対象とした医療相談や医療情報の提供、小・中・高校への外国人講師の派遣、外国籍の子どもを中心とした多文化保育園の運営に取り組む団体。
本プロジェクトは、医療機関を利用する在日外国人のために、電話による通訳システムを構築しようと試みるものである。すでに地元自治体との協働によって複数の病院と保健所でシステムが稼動しており、今回は、そのシステムをさらに充実・拡大させるための研修費用等の経費に対して助成することになった。医療機関を訪れる在日外国人のための通訳サービスは他の市民団体においても試みられているが、電話を用いての取り組みは先駆的な試みであり、効率性においても優れたものと判断された。審査では、そのような発想の新しさとともに、自治体や地元関係機関との綿密な連携を基盤に、事前に準備が進められている点も評価された。

(13)障害のある人の芸術活動を支援する事業

アトリエ素心居
・ 代表者:河部宏子
・ 主な活動地域:愛媛県松山市

[推薦理由]

障害者のための工房とギャラリーを備えた地域の中のアトリエを拠点に、障害のある人の芸術活動を支援し、地域の人とのふれあいを通して障害者の社会参加と自立を目指した活動に取り組む団体。
障害者の社会的参加の機会が阻まれ、障害者が本来持っているさまざまな能力の発揮がなされにくいなかで、美術や音楽などの芸術活動を通じて潜在能力や可能性を引き出そうとするこのプロジェクトは、障害者の社会参加と自立にむけた人権擁護の活動の視点からも評価できる。また、多彩なプログラムは地域との交流を活発化させることになり、障害に対する正しい理解を促進することも期待できる。報告書の作成にあたっては、障害のある人の作品を紹介する美術書的視点からの啓発になることを期待したい。

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■ 継続助成1年目

(1)商店街で活動する精神障害者のピアサポート支援事業

特定非営利活動法人SAN Net 青森
・代表者:根本あや子
・主な活動地域:青森県青森市

[推薦理由]

商店街の中に精神障害者のためのオープンスペースを開き、デイサービスや相談支援に取り組む団体。2002年度は商店街の中での当事者による宅配サービスや割り箸のリサイクル活動などのプロジェクトに対して助成。
本プロジェクトは、「働く・出かける」「街で活動する」「エンパワメント」という3つの精神障害者のピアサポートを商店街で展開することによって、障害者と市民との関係をつなぐとともに福祉対応型商店街をつくりあげるという興味深い活動である。選考委員会での1年目の助成による活動状況の説明の中で、一例として、これまで理髪店で職業を尋ねられる毎に答えに窮していたある青年が、商店街での買い物を宅配する仕事にたずさわったことで「これからは運搬をやっていると話せる」と嬉しそうに語ったというエピソードが話された。人に自信をもたせることのできる働きかけは、非常に評価できる。このような意味のある活動が、いつかは助成なしでも運営できるものに発展していくことを願っての継続助成である。

(2)あなたのしたい仕事応援します!atとらいスペース

特定非営利活動法人茨城NPOセンター・コモンズ
・代表者:帯刀治
・主な活動地域:茨城県

[推薦理由]

民間のNPO支援センターとして、NPOの普及や運営支援・研修・情報発信・政策提言活動に取り組む団体。2002年度は新たに開設するコミュニティレストランを中心に、若者たちが様々なチャレンジを行うためのプロジェクトに対して助成。
NPOが発展していくための人材育成プログラムとして、1年目の助成のコミュニティレストラン立ち上げの取り組みを評価し、若者たちの自立に向けたワンステップとしてのこのプログラムが、ここを拠点に発展して行くことを期待したい。とりわけ、レストランは多くの人たちとの接点の場であり、社会参加していく上で必要な接客などのマナーを学習する機会として適しているものと考えられる。一方、デスクワーク体験講座は、コモンズの仕事とトレーニングの違いが見えにくく、また、保育付き市民ライター講座は、視点として関心が持てるものの、トレーニングの効果性に今後の検討を要するものと思われる。

(3)ひきこもり当事者による雑誌発行プロジェクト

特定非営利活動法人東京シューレ
・代表者:奥地圭子
・主な活動地域:東京都

[推薦理由]

不登校の子どもたちや若者たちを対象に自分の興味や関心によって自由に学び、安心して成長できる場づくりに取り組む団体。2002年度はひきこもり当事者による雑誌発行プロジェクトに対して助成。
ひきこもり当事者が集まるサロンの中で自主的に発案された、当事者たちにより発行する雑誌「IRIS」は、すでに2号が発刊されている。取材から編集まで自分たちの手によって発行するこのプロジェクトは、同じ境遇の当事者やその家族から大きな反響を得ている。慣れない中での年4号発行という大変な作業であるが、参加している当事者たちは、編集会議や取材、印刷所などでさまざまな人との関わりをもち、自己表現する機会を増やしている。また、社会に向かって発信することで、社会とのつながりができてくる。自分に合ったペースで働きながら社会とつながることによって、自己への自信回復から社会復帰への道筋が見えてくることが期待される。このプロジェクトにより、ひきこもりに対する社会からの理解が促進され、また雑誌発行が自分たちの手による運営へと軌道に乗っていくことも期待し、継続して助成する。

(4)ミャンマー/ドーポン郡区障害者支援事業

特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン
・代表者:峯野龍弘
・主な活動地域:海外および日本国内

[推薦理由]

チャイルド・スポンサーシップを元に開発途上国での地域開発援助、紛争や天災による緊急復興援助に取り組むとともに、日本国内で啓発活動や政策提言活動に取り組む団体。2002年度はミャンマーの首都ヤンゴンのスラム地区における、障害者の社会参加・自立を支援し、家族などの介護者の支援も行うプロジェクトに対して助成。
1年目の進行状況としては、障害児の就学支援や理学療法士によるリハビリテーションの支援などの直接的支援と同時に、ミャンマー国内の障害者団体を組織化することへの支援も実施され、CBR(コミュニティ・ベースト・リハビリテーション)アプローチによる当プロジェクトは、順調に進行していると考えられる。継続応募の目的は、1年目の成果を承けて、プロジェクト終了後の継続性を保障することを念頭に置き、介護者研修や就学支援と平行して、地域の障害者組織の活性化、全国組織の組織基盤強化を支援するもので、途上国における医療・福祉領域での支援協力活動のモデルとなることも期待できる。

(5)プライマリヘルスケア・アプローチによる路上死のない街へ

新宿連絡会・医療班
・代表者:大脇甲哉・稲葉剛
・主な活動地域:東京都新宿区

[推薦理由]

新宿区内で路上生活を余儀なくされる野宿者に対し、医師・歯科医師らによる定期的な健康相談などに取り組む団体。2002年度はプライマリヘルスケアの考えに根ざした定期健康相談、生活保護申請の支援、当事者への啓発活動、宿泊所の提供、入浴と着替えの提供などのプロジェクトに対して助成。
1年目の助成により、3~6名の医師・歯科医、5~8名の看護婦・医科学生・看護学生などのボランテイアによる継続的な医療相談会が開かれ、医療機関受診や生活保護の医療扶助を受けることのできる野宿者が増えたこと、義歯治療が受けられるようになったこと、救急入院拒否の折りのカプセルホテル利用が可能になったこと、入院時の着替えの準備を充実させたことなどの実績を上げている。このほか野宿者医療の受け入れ病院確保のアンケートを実施したり、こういった活動の啓蒙や広報活動を行なってかなりの成果が得られている。野宿者が医療ケアを受けやすくするためには、受診時に「清潔」な状況であることが必要であることが明らかになり、入浴やシャワーの機会をつくることが、医療相談や医療パトロールの効果を上げる鍵になっている。継続応募では、こういった活動を新宿から池袋に広げて、公的機関にも説得力のある野宿者のための医療支援の実践的モデルを作ろうとしており、その点を高く評価した。

(6)知的障害者の性のワークショップ事業

特定非営利活動法人エンパワメント・プランニング協会
・代表者:野嶋スマ子
・主な活動地域:東京都、大阪府

[推薦理由]

障害者の自立と社会参加に向けて、障害者と支援者の適切な関係性を研究し、実践に取り組むことで障害者と支援者のエンパワメントに取り組む団体。2002年度は知的障害者自身が性の権利を理解し、支援者がより良い支援ができるために実施した大阪で行うワークショップに対して助成。
障害者にとっても性の権利が保障されることが重要であるが、このプロジェクトでは、知的障害をもつ人に対して自分の身体を理解するためのワークショップと、それを支援する人に対してよりよい働きかけができるためのワークショップが行われている。1年目は大阪で開催して望ましい成果がもたらされつつあるので、今回はそれを「CILくにたち援助センター」との協働によって東京で開催する。この協働プロジェクトの中で、このワークショップがさらに意味深い活動として発展し、社会に根付いていくことを期待したい。

(7)精神障害者ピアヘルパー等養成事業

兵庫県高齢者生活協同組合
・代表者:香川公一
・主な活動地域:兵庫県

【推薦理由】

高齢者や障害者への訪問介護サービスや配食サービスなどに取り組むとともに、ホームヘルパーの養成などの福祉に関わる人材育成に取り組む団体。2002年度は精神障害者本人がヘルパー資格を取得し、同じ障害をもつ者へサービスを提供するためのピアヘルパー養成事業に対して助成。
1年目の助成によるピアヘルパー等養成事業では、受講生も順調に集まり、優れた事業展開能力を発揮している。この間、調理実習を導入したり、当事者やその家族を講師として招くなど、プログラムそのものも充実し進化している。新規のピアヘルパー養成とともに、講座修了生の就労体制を整えることに主眼を置く2004年度の活動計画は、初年度の実績をふまえての自然な展開であろう。また、これまでの事業において一般市民からの反響が大きかったことは、広く地域社会へのインパクトを持ちうる活動でもあることを感じさせる。助成の継続により、今後一層の発展が期待される活動であると思われ、高い評価を得て採択が決定された。

(8)在日コリアン高齢者の福祉ケア向上のための事業

神戸定住外国人支援センター(旧:KOBEハナの会)
・代表者:金宣吉
・主な活動地域:兵庫県神戸市

【推薦理由】

在日外国人の日常生活支援に取り組むことを目的に日本語の学習支援、生活相談支援、在日外国人に関する調査研究および政策提言などに取り組む団体。2002年度は在日韓国・朝鮮人高齢者へのサービスおよび地域レクリエーション活動のあり方に関する調査・研究・啓発とその事業化に対して助成。
1年目の取り組みでは、在日外国人高齢者の対象を在日コリアン高齢者(主に1世)にしぼり、彼らの渡日史や生活史の聞き取り調査、ビデオでの記録を行なった。その結果、身体の虚弱化が進み、医療介護の必要性が高まっているにもかかわらず、社会保障の不備と福祉制度の煩雑さ、さらに言葉や文字のハンデイを抱えていることから、在日コリアン高齢者が社会的にも取り残されている実態が明らかになってきた。2年目の取り組みでは、これらの聞き取りをもとにした冊子の作成および在日コリアン高齢者へのケアを行う人材の育成を行う。聞き取り調査の結果とビデオ記録の内容分析をもとに冊子を作るという継続性と具体性が高く評価され、文化的な価値も高いものと判断して継続を推薦することになった。

(9)不登校の子どもたちの健康づくりと体力づくりへの挑戦

神戸フリースクール
・代表者:田辺克之
・主な活動地域:兵庫県神戸市

【推薦理由】

学校へ行けなくなった子どもたちの居場所づくりを目的に、子どもたちが自主的につくるプログラムに基づき活動する団体。2001年度は不登校の子どもたちに給食サービスと体力つくりを提供することによって、栄養面と体力面のバランス改善および健康維持に取り組むプロジェクトに対して助成。
不登校の子どもたちにとって、人とのコミュニケーションは大きな課題であり、自信をつける上でも規則正しい生活は大切である。その一つとしての食生活の改善に向けた今回のプログラムは、前回の助成プログラムを更に展開するものと考えられる。とりわけ、自らの食する米や野菜などを自分たちで栽培することは、子どもたち自身が、生活と栄養、無農薬と食の安全、自然への親しみなどについての多くの学びの中での成長を可能にし、彼らの自信に繋がるものと評価できる。しかし、スポーツ等が子どもたちに与える効果は理解しながらも、スキーやヨット等の合宿の経費については、この助成が適切であるか否かの議論もあり、割愛することになった。毎年実施するプログラムであれば、何らかの自己努力が望まれる。

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■ 継続助成2年目

(1)障害児者、共に生きる家族のためのダンスワークショップ

特定非営利活動法人ポーロウニア協会
・代表者:岡崎直樹
・主な活動地域:東京都

【推薦理由】

生の舞台芸術に触れる機会の少ない障害者を対象に、養護学校や施設などで演劇やコンサートを実施してきた団体。2001年度および2002年度は重症心身障害者とその親を対象に、彼らの特性を理解したダンスや音楽などの表現のプロが講師となって行うダンスワークショップに対して助成。
すでに2年間、障害児・者とその養育者にダンスワークショップを行なってきた興味深い試みである。活動範囲も都内3区に拡大し、今年度からは母親クラスを新設してさらに充実した取り組みが展開されている。2年にわたる継続的な取り組みの結果として、この活動に刺激されたと考えられる障害児・者や養育者のポジティブな変化もはっきり現れてきつつある。母親クラスの中からは、将来の指導者になりうる人材も出てきつつあり、活動の持続と拡大のための懸案であった人材面の問題も解決の方向が見えてきたといえる。経済的な自立にはまだ困難も予想されるが、その経済的基盤をより確かなものとする努力の結実を期待して、継続助成することとした。

(2)DV被害女性及び同伴子の緊急一時保護事業

FTCシェルター
・代表者:平川和子
・主な活動地域:東京都

【推薦理由】

DV(ドメスティックバイオレンス=家庭内暴力)の被害者である女性と同伴子の緊急一時避難所(シェルター)の運営や被害者に対する心理的援助などに取り組む団体。2001年度および2002年度はDV被害女性と同伴子に対する安全確保、生活支援、心のケア、法的アドボケイトの取り組みに対して助成。
2年目のDV被害女性と同伴子の緊急一時保護事業においては、事業を着実に展開し、予定していた利用者数を超えるニーズにも対応できたことは高く評価される。これまでのシェルター入所者に対する支援の経験をふまえ、さらに退所者への支援へと活動を拡大・発展させようとする今回の応募には、この領域の牽引役を担って来た団体ならではの先見性を感じさせるものがある。選考委員会でのプレゼンテーションでも、当事者の身体的・心理的健康状態など、当事者の現状と問題性を的確に把握している様子がうかがわれた。また堅実な事業計画から、3年目の新規事業についても実現の可能性は高い。助成の継続によって活動内容は一層の充実をみるであろうことが予想され、採択に至った。

(3)思春期の自立と精神保健を育むピアサポート事業

ティーンズポスト
・代表者:八巻香織
・主な活動地域:東京都

【推薦理由】

年齢性別を問わず思春期の子どもから大人までを対象に、自己回復と精神的自立の援助に必要な活動を企画運営している団体。2001年度および2002年度は思春期の子どもを対象としたレターカウンセリング、専門的技術ボランティアの養成、自助グループ活動の推進などの取り組みに対して助成。
様々な悩みを持つ思春期の人たちに、自ら手紙を書くという行為を通じて回復へと導くレターカウンセリングを提供している。摂食障害やひきこもりなどの対人障害をもつ人の自助グループに対し、回復者カウンセラーによるピアサポートの意義や問題についてのセミナーを開催するなど、若者たちが直面する様々な課題に対し、自らがどのように対処するかを学ぶ機会を提供している。2年間の継続した取り組みの中から、若者の自立への不安の背景には、「働くことへの社会的イメージへの不信」があることが見い出されたことは、大きな成果である。引き続き、このテーマによる学習会やセミナーを設け、若者たち自身に学ぶ機会を設けていく点を高く評価する。

(4)在日外国人に対する健康相談会事業

特定非営利活動法人外国人医療センター
・代表者:村地俊二
・主な活動地域:愛知県

【推薦理由】

地域在住の外国人の無料健康相談会や医療情報の提供などを行うとともに、地域住民への啓発活動を行なっている団体。2000年度および2002年度は医療情報提供と相談、医療機関への通訳派遣、出張健康相談会などの取り組みに対して助成。
在日の外国人に対して実施している出張健康相談会は、それぞれのコミュニティに出向いて行われるもので、相談者数も多く効果的な実施方法と考える。この相談会では、レントゲン撮影、検尿、歯科相談も実施されており、医療サービスを充分に受けられない外国人にとって、病気の悪化防止効果が期待される。他の外国人支援団体との協力関係も構築されてきており、健康相談会が継続して実施されることよって、この地域に住む外国人への認知が広がり、定着することを期待して3年目の助成を行うことにした。自立した運営に向けての足がかりが得られることを期待したい。

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