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ファイザープログラム 助成団体 THE BIG ISSUE 掲載記事

応援の気持ちも一緒に、
アマチュア音楽家の演奏を録音し、入院患者に届ける「メンタルアップ音楽図書館」
-NPO法人 サードプロジェクト

アマチュア音楽家が歌に込めた応援の気持ちを、病と闘う人たちに届けたい。そんな思いから、チャリティライブや音楽の貸し出しサービスをしている「サードプロジェクト」のみなさんに、活動の醍醐味やこれからの展開について聞いた。

難病患者のチャリティライブ、院内でのコンサートも

画像:事務局長 成田 健さん 事務局長 成田 健さん

現在、「サードプロジェクト」の事務局長を務める成田健さんが団体を立ち上げたのは、07年10月のことだった。病院で病と闘う人たちに24時間密着したテレビのドキュメンタリー番組が、きっかけとなった。

「こういった番組で、たとえばがんになった人の苦しみにふれても、いつも何もできずに終わってしまうことが歯がゆかった」

そこで、コンサートや式典などの音響に携わる仕事を長年続けてきた経験を生かし、「音楽を使って何かできないだろうか」と考えた成田さんは、チャリティライブを企画した。アマチュアの音楽仲間に声をかけ、入場料を無料にする代わりに募金を集めて、難病患者や家族の支援をしている「財団法人北海道難病連」に寄付した。

元気の源であるニンニクにちなんで「ガーリックナイト」と名づけられたこのライブイベントは、札幌市時計台の2階にある「時計台ホール」や札幌市内のライブハウスなどで、これまでに6回開催された。

ラジオ番組「オールナイトニッポン」のテーマ曲として知られる「ビタースウィート・サンバ」で幕を開けるステージは、幅広い年代の聴衆が楽しめるように、「恋のバカンス」や「時の流れに身をまかせ」といった懐かしい歌謡曲を織り交ぜながら進んでいく。

歌声喫茶のような空間を意識して、客席内にもマイクと譜面台をセットし、ステージと客席の歌声が一体となることもあれば、乗りのいいお客さんが踊り出し、ライブハウスがダンスホールと化してしまうこともあるという。

そして最後に設けられた「頑張れ!子どもたち」のコーナーでは、難病を抱える子どもをもつ家族からのメールやブログなどを紹介し、「病と闘う勇気ある者たちの生の声」を届ける。「現実には歌声は届かないし、自己満足にすぎないかもしれないけど、歌には彼らへの応援の気持ちが込められている」と成田さんは言う。

活動の場はさらに広がり、病院の待合ホールなどを利用しての「院内コンサート」も開催した。聴衆は、そのほとんどが入院患者だ。クラシックを演奏することもあるが、誰もが口ずさめる懐メロを披露した時には、配られた歌詞カードを見ながら歌ううちに涙がこみ上げてくる人もいたという。

点滴中や寝つけない時も、音楽に浸れる携帯プレーヤー

写真:理事長 須藤 久恵さん(写真左)/スタッフ 山元 達哉さん(写真右)理事長 須藤 久恵さん(写真左) / スタッフ 山元 達哉さん(写真右)

アマチュア音楽家の力は「メンタルアップ音楽図書館」というかたちでも発揮された。大きな病院の中には図書コーナーを設け、本の貸し出しを行っているところもある。「その音楽版があればおもしろいのではないか」という発想から生まれたプロジェクトだ。

「まだ発想の段階でホームページを立ち上げたところ、地元の新聞社が目を留めて記事にしてくれました」

その記事を読み、「自分にも何か手伝えるのではないか」と連絡をくれたのが山元達哉さんだ。自営業でウェブサイトを作成しており、携帯デジタル音楽プレーヤーにも詳しい山元さんは、「CDをレンタルできる店も増え、インターネットからも簡単に音楽をダウンロードできる時代になりましたが、応援歌的な思いが込められているアマチュア音楽家の演奏や歌声には勇気づけられる人も多いのではないか」と考え、協力を申し出た。

クラシック、ジャズ、インストゥルメンタル、ポップスのジャンル別に分けられた曲目リストには、「茶色の小瓶」「太陽がいっぱい」「見上げてごらん夜の星を」といった名曲がずらりと並ぶ。中には趣旨に賛同したプロのものもあるが、ほとんどがアマチュアの手によるものだ。

ストックは「オーケストラがコンサートを開く時に録音させてもらったり、改めて録音会を開いたりして増やしていった」という。ファイザープログラムの助成を受けたことで、その数は400曲にまで達した。現在は札幌市内にある4つの病院で週に1度、携帯デジタル音楽プレーヤーの貸し出しを行っている。

写真:チャリティコンサートチャリティコンサート 写真:貸し出される音楽端末貸し出される音楽端末

音楽図書館は思わぬ効果も発揮している。
貸し出し受付のボランティアをしている後藤朝子さんは、「患者さんたちは相手が医師や看護師だと遠慮してしまうけど、私たちには家族のように気軽に話しかけてくれる」と言う。どんな病気で、どれくらい入院しているかに始まり、「どんな歌が好きなの?」「カラオケは行くの?」といった、たわいもない世間話が楽しみなのだとか。

同じくボランティアの沖中和子さんも、「患者さんの中には誰かと話したいという欲求が溜まっている。何の利害関係もない私たちの前に来た途端、普段は言わないような本音がぽろっとこぼれてしまう人もいる」と明かす。

貸し出しの際に渡すアンケート用紙からも、借りた人の思いをうかがうことができる。

「抗がん剤の点滴を受けながらヒーリングクラシックを聴き、今までになくリラックスした、とてもいい気持ちになりました」と書いた52歳の女性もいる。

「本当に毎日聴いています。夜中に目が覚め、寝つけない時などは最高! どれだけ助けられたことでしょう」という57歳の女性もいれば、「月に10日ほど入院していますが、入院が楽しみになりました」と書いた72歳の男性もいる。

中には、「プロ演奏家によるものかと思って借りた」が、実際に聴いたところ「巧拙は二の次として、演奏してくださったみなさま方が私たちを支えてくれようとしている気持ちがひしひしと伝わり、力づけられました」という67歳の男性もいた。

一方で、「指先のしびれがあり、プレイ曲の早送り・ストップなどの操作がやりづらい」「もっと前から知っていればもっと楽しい入院生活だったろうと思います」などの意見もあり、「操作しやすい機種への変更」と「周知の徹底」が今後の課題だ。

音楽図書館、高齢者施設にも広げたい

11年の8月には、活動を引っ張ってきた成田さん自身が肺がんと告知されるという出来事もあった。翌9月には摘出手術を受け、11月からは抗がん剤治療を始めた。そして今も通院しながらの治療が続いている。

「入院患者にはプリペイドカードを買って病室のテレビを見るか、本を読むくらいしか楽しみがないということが、入院して改めてわかりました。そんな時に音楽があったからって大した応援にはならないかもしれないけど、そういえばこんな懐かしい歌もあったねぇと思い出すことで、その間だけでも病気のことを忘れることができます」

12年には、札幌市内で食事付き高齢者共同住宅を運営している須藤久恵さんという心強い助っ人も得た。

「私たちの施設でも沖縄民謡の演奏会を開いたり、蓄音機を使って昔のレコードを聴いたりしてきました。認知症の方もたくさんいますが、昔の音楽を聴いたことで亡くなった夫のことを思い出して涙を流すなど、普段は表に出ることのない感情が湧き上がってくることもあり、音楽の力を日々感じています」

(追記)
この取材後に成田さんが亡くなった。理事長の須藤さんはじめ、スタッフやボランティアのみなさんは、「高齢者施設にも音楽図書館を広げていきたい」と夢を膨らませていた成田さんの遺志を継いで、「サードプロジェクト」の活動をこれまでと変わらず続けていきたいという。

NPO法人 サードプロジェクト

07年10月、「難病の人や障害のある人とその家族に、音楽を通して応援の思いを伝えるプロジェクト」として設立。アマチュア音楽家によるチャリティライブ「ガーリックナイト」や院内コンサート、入院患者に携帯デジタル音楽プレーヤーを貸し出す「メンタルアップ音楽図書館」などの活動を行っている。

〒062-0901 札幌市豊平区豊平1条6丁目2-8 伊藤ビル302
TEL&FAX : 011-831-2303
メール : windworksrainydog@yahoo.co.jp
ホームページ : http://music.geocities.jp/rainydog2007/

※名称・団体名はTHE BIG ISSUE掲載当時のものです。

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