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ファイザー株式会社 Working together for a healthier world より健康な世界の実現のために
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ファイザープログラム 助成団体 THE BIG ISSUE 掲載記事

あざ、やけど、傷などの「見た目問題」ネットワークを築き、
“自分らしい顔で自分らしい生き方”が楽しめる社会を目指す
-NPO法人 マイフェイス・マイスタイル

あざ、やけど、傷、円形脱毛症など、顔や身体などの見た目に症状がある人の数は、国内だけで80~100万人にのぼるとみられている。
このような「見た目問題」に取り組むNPO法人「マイフェイス・マイスタイル」の代表と、そこにつながる当事者のみなさんに話を聞いた。

交際相手の顔の傷跡から。非当事者の視点で団体をつくる

画像:NPO法人「マイフェイス・マイスタイル」 代表 外川 浩子さん NPO法人「マイフェイス・マイスタイル」 代表 外川 浩子さん 画像:「見た目問題」オープンミーティング in 大阪 2012年2月12日、リバティおおさかにて 「見た目問題」オープンミーティング in 大阪 2012年2月12日、リバティおおさかにて

後天的または生まれつき外見(見た目)に症状のある当事者が直面・内包する問題を、「マイフェイス・マイスタイル」の外川浩子さんは「見た目問題」と呼ぶ。この問題に取り組む団体の代表としては珍しく、当事者でも当事者の家族でもない。外川さんが「見た目問題」に関心をもつようになったきっかけは、15~16年前までさかのぼる。当時交際していた男性の顔には大きな傷跡と変形があった。赤ちゃんの時にやけどを負い、子ども時代に皮膚移植の手術を受けたのだった。

「一緒に町を歩いていても、店で食事をしていても周りの視線が気になりました。こっちをちらっと見ては視線を外し、こそこそ何か話している。解消できないモヤモヤ感を抱えていた時、当事者の体験をまとめた『見つめられる顔―ユニークフェイスの体験』という本と出合いました」

その本をつくったNPO法人「ユニークフェイス」という当事者団体にさっそく入会した外川さんは、やがて事務局長まで務めるようになった。そして06年、「非当事者としてのフラットな視点」をさらに生かした団体をつくろうと、弟の正行さんと「マイフェイス・マイスタイル」を立ち上げた。この頃には、すでに交際相手とも別れていた。

08年には初めてのイベントを東京で主催した。「ばらばらに存在している当事者団体や患者団体をつなげて、大きなネットワークにしたい」と全国に呼びかけたところ、円形脱毛症、アルビノ(※1)、サリドマイドの当事者団体が活動を紹介するブースを出し、パネルディスカッションに参加してくれた。ウイッグや人工ボディを販売する企業も協賛し、会場にはさまざまな症状をもつ当事者を含む100人近くが集まった。翌年には大阪でも開催し、現在は「見た目問題」にかかわる活動をしている個人や団体、企業など52ヵ所とネットワークを結んでいる。

アンタッチャブルな人として、当事者が直面する問題

写真:「日本アルビニズムネットワーク」 スタッフ 粕谷 幸司さん(写真左) /  
NPO法人「眼瞼下垂の会」 スタッフ 大澤 広和さん(写真右)「日本アルビニズムネットワーク」 スタッフ 粕谷 幸司さん(写真左) / NPO法人「眼瞼下垂の会」 スタッフ 大澤 広和さん(写真右)

実際のところ、当事者はどんな現実に直面しているのだろうか。

たとえば、アルビノの当事者である粕谷幸司さんは「直接的な攻撃は加えられなくても、アンタッチャブルな存在として避けられてきた」と話す。「誰も話しかけてこないし、町で配っているティッシュも自分だけもらえなかった」という経験をもつ一方で、「目立つことを逆手に取れば人気者になれるのではないか」と前向きに考え、今はWEBラジオなどにも積極的に出演。日本初の「アルビノ・エンターテイナー」を自認している。

左まぶたを持ち上げる筋力が弱い「先天性眼瞼下垂症」(※2)の大澤広和さんは、子どもの頃はドッジボールで左側ばかり狙われた。就職の面接では「正常なバランスの顔ではないから接客には当てられない」と露骨に言われたこともある。働き始めてからも、運転中や会議中に居眠りと間違われるなど「小さな損をいくつもしてきた」という。保険適用の手術はあるが「瞼に偏見をもたない人が励みや支えになり、あえて手術しない生き方を選んだ」と話す。

「先端巨大症(アクロメガリー)」(※3)の南雲彩佳さんは18歳の時に身長が再び伸び始め、2、3年で164センチから170センチになった。顔つきも変わり、体重は70キロを超え、手足も大きくなったが、「ただの太りすぎ」だと思っていた。

「頬骨やあご、おでこが突出し、鼻が大きくなるなどの顔の症状もあり、鏡を見るたびに、そこばかり意識してしまいました。視野の欠損に気づいて受診し、病名がわかった時には24歳になっていました。今は脳下垂体の腫瘍を取り除く手術を受け、薬で症状をコントロールしています」

先端巨大症は外見が男性的になることから、女性患者の中には「おかま」などと言われ、自分のセクシュアル・アイデンティティについて悩む人もいるという。

見た目による差別は歴然と存在するにもかかわらず、公的機関にも病院にも「見た目問題」専用の相談窓口はない。また、機能的な障害がなく「見た目に症状がある」だけでは障害とも認定されない。外川さんは「障害者のサポート体制が十分とは言い切れないが」とした上で、たとえば一つの解決策として、「障害者雇用促進法」や、成立に向けて議論が進んでいる「障害者差別禁止法」に「障害者並びに見た目に症状がある人」と併記するか、障害者の枠組に「見た目に症状がある人」を加えることを考えることができるかもしれないと言う。

まず「ウェブ版」。
悩む人が直接情報を得られる「サポートセンター」を計画

写真:先端巨大症(アクロメガリー)当事者 南雲 彩佳さん(写真左) / NPO法人「眼瞼下垂の会」 代表 大場 美津子さん(写真右)先端巨大症(アクロメガリー)当事者 南雲 彩佳さん(写真左) / NPO法人「眼瞼下垂の会」 代表 大場 美津子さん(写真右)

一方で、「たとえ社会が変わらなくても、当事者が楽しく生きていくことはできる」とも言う。たとえば、南雲さんは「年間発症率が100万人に4~6人といわれている難病にかかった私には、恋愛や結婚は無理だ」とあきらめていた。ところが、患者会で他の患者と出会い、普通に生活している仲間の存在を知ったことで「私もやりたいことをやろう」と思えるようになった。

「顔にあざがある人はカバーメイクをしてもいいし、しないまま営業の仕事をしている人もいる。円形脱毛症の人はウイッグを着用してもいいし、着用せずに過ごしている人もいる。それは本人が一番生きやすい道を選択すればいい。いろいろな選択肢があることを当事者に伝えたい」と、外川さんは言う。

実際、東京ほど患者会などの活動が活発でない地方では、「自分以外の当事者に会ったことがない」という人も少なくない。そこで「マイフェイス・マイスタイル」では毎週水曜日に、無料で登録できるメールマガジンとユーストリーム番組『ヒロコヴィッチの穴』を配信。さらに情報誌『マイ・フェイス』の発行を通して、当事者の声や生きざまなどを伝えている。

また、ファイザープログラムの助成を受けて、全国各地での「オープンミーティング」も始めた。今年2月には大阪、4月には富山、7月には東京で実現。会場からは「悩んでいるのが自分一人じゃなくてよかった」「症状は違っても共感できる部分が多い」といった声があがった。秋頃には、大分でも開催する予定だ。

当事者や家族の中には、情報にうまくアクセスできずに悩んでいる人もいる。12年前、生後4ヵ月の息子が「先天性眼瞼下垂症」と診断されたNPO法人「眼瞼下垂の会」代表の大場美津子さんも当時、情報の少なさに苦しんだ。「ネット上の情報が増えた今も、何科で手術を受けられるのかといった情報は十分に行き渡っていない」という。

そこで「マイフェイス・マイスタイル」では、全国の当事者団体や企業、行政、医療機関、教育機関などに協力を呼びかけ、「見た目問題」に悩んでいる人がアクセスすれば、次のステップに進める情報が得られる「サポートセンター」の設立を計画している。将来的には「学校の社会科見学のコースに組み込んでもらう」ことも夢見つつ、年内にはまず「ウェブ版」を立ち上げる予定だ。

外川さんによれば、「見た目なんか気にしないよ」「見た目なんか気にするなよ」といった言葉は、かえって当事者を傷つけることもあるという。

「『ありのままを受け入れて気にしないで』と言われると、そこで話が終わってしまう。人は相手を見た目で判断するし、見た目にこだわる存在。見た目が違えば悩むことだってあるという前提に立ち、〝自分らしい顔で自分らしい生き方〟が楽しめる社会を提唱するのが私たちの役割です」

  1. ※1 生まれつきメラニン色素をつくれない、または、わずかしかつくれない遺伝性疾患。そのため、皮膚の色が白く、毛髪は白や金、茶色、目の色は薄い灰色や青、茶色などである。
  2. ※2 生まれつき、まぶたを持ち上げる筋肉の働きに問題があり、まぶたを十分に開くことができない疾患。腫れぼったく見えたり、眠そうに見えたりする。
  3. ※3 脳下垂体にできた良性の腫瘍から成長ホルモンが過剰に分泌され、顔貌の変化や手足の肥大を起こす慢性の進行性疾患。

写真:情報誌『マイ・フェイス』。資金繰りが厳しく、最新号は購読予約が2000部に達した段階で発行する予定だ。情報誌『マイ・フェイス』。資金繰りが厳しく、最新号は購読予約が2000部に達した段階で発行する予定だ。

NPO法人 マイフェイス・マイスタイル

あざ、やけど、傷、脱毛など「見た目」に症状があるみなさんを、当事者団体や関連企業などとのネットワークづくりを通して、サポートする「見た目問題」解決NPO。「誰もが、自分らしい顔で、自分らしい生き方を楽しめる社会」の実現に向け、サポートセンターの設立を目指す。

※情報誌『マイ・フェイス』最新号購読予約(1部600円)、賛助会員(年会費1万円)など、活動を応援してくれる人を募集しています。

〒162-0823 東京都新宿区神楽河岸1-1 東京ボランティア・市民活動センター
メールボックスNo.40「マイフェイス・マイスタイル」
TEL : 03-6658-5580(平日10:00-19:00)
FAX : 03-6658-5581
メール : support@mfms.jp
ホームページ : http://mfms.jp/

※名称・団体名はTHE BIG ISSUE掲載当時のものです。

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