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2011年度助成団体 BIG ISSUE掲載記事

セクシュアル・マイノリティ、
相談事業や全国ネットワークをつくり その人らしい生き方をサポート
-NPO法人 共生社会をつくるセクシュアル・マイノリティ支援全国ネットワーク

多くの社会制度は男女が結婚することを前提につくられている。そんな社会通念にとらわれず、誰もが自分らしく生きられるよう、セクシュアル・マイノリティをサポートしている団体がある。当事者はどんな問題に直面し、打開策はあるのか。NPO法人共生ネットのみなさんに話を聞いた。

男女別の病棟に戸惑い DV被害も認められない

画像:代表理事 原ミナ汰さん 代表理事 原ミナ汰さん 画像:今日も「なんでも電話相談」のベルが鳴る 今日も「なんでも電話相談」のベルが鳴る

セクシュアル・マイノリティをサポートしている「NPO法人共生社会をつくるセクシュアル・マイノリティ支援全国ネットワーク(以下、共生ネット)」という団体がある。

対象としているのは同性愛やバイセクシュアル、性同一性障害の人だけではない。もっと広く「社会通念としての性別や恋愛観、結婚観、ライフスタイル観に葛藤を感じている当事者、そして家族や友人、同僚」などを想定しているという。

設立は2008年1月。ジェンダーやセクシュアリティなどについて学び合うスペース「パフスクール」主催の「国に意見する方法」という市民講座があり、その参加者が中心となって立ち上げた。

セクシュアリティに関する本をいくつも手がけてきた翻訳家で代表理事の原ミナ汰さん自身も、幼い頃から女という性別に違和感をもち、「どちらかというと男ではないか」と思いながら生きてきた。今ではそういう自分を「Xジェンダー」と表現する。

「学校に行けなくなって、ひきこもったこともありました。社会と折り合いをつけようと、男性とつき合い、子どもを持ったが、それでも自分の中の性別違和感は消えなかった。結婚に踏み切れないまま、しばらく一緒に暮らし、その後は、女性のパートナーと暮らしてきました。地域の親同士とゲイ・レズビアンの仲間、両方のネットワークの助けを借りて、働きながら子育てをしてきました。これまでに自分がほしかった答えや温かさを思い出しながら、活動に活かしています」

セクシュアル・マイノリティは社会の中で、どんな問題に直面しているのか。

「たいていの病院は男女で病棟が分かれているので本人の性自認が女性でも骨格や声に男性的な特徴が残っていると女性病棟に入れなかったり、他の利用者から苦情がきたりします。かといって個室は料金が高いので、我慢を重ねて病状を悪化させる人もいる。そういうケースにも対応できるスペースの確保、性別に関する制度設計の点検が必要です」

さらに、セクシュアル・マイノリティを研究テーマとし、当事者へのインタビューなども行ってきた和光大学准教授の杉浦郁子さんは、「社会制度が男女だけを配偶者とみなしてきたことの弊害」を指摘する。

「DVは男女間でしか起きないと想定されているため、女性間の暴力だと緊急性がないと判断され、被害者がシェルターに入れない場合がある。また、パートナーとうまくいかなくなって男女でいう離婚をする時も、仲介する制度がないので自己解決するしかありません」

反対に長年連れ添った場合でも、パートナーの死後に親族が現れて、遺産を相続できず、住み慣れた家を出て行かねばならないケースが多々あるという。

満杯、週3時間の電話相談 ノウハウは他の窓口でも活用

写真:理事 杉浦 郁子さん(写真左)/副代表 宇佐美 翔子さん(写真右)理事 杉浦 郁子さん(写真左)/副代表 宇佐美 翔子さん(写真右)

全国には、独自に活動するセクシュアル・マイノリティ当事者の小さなサークルやコミュニティがいくつもあり、現在事務局に携わるしーたさんも、そういったグループからの紹介で共生ネットにつながった。これまでは悩みごとがあれば、グループで活動する個々人が互いに相談し合うのが通例だったが、個人の力には限界があり、相談の重さに押し潰されてしまうこともあるという。

そこで共生ネットでは、個人ではなく団体として対面相談による直接支援事業を行ってきた。

副代表を務める宇佐美翔子さんによれば、自分のセクシュアリティに対する偏見を恐れて自己開示に消極的になった結果、人に助けを求めることができず、いくつもの問題を抱え込んでしまった人も少なくない。相談は、からまり合い複雑化した問題をときほぐす作業なのだという。

「たとえば対人恐怖や不眠などの症状を訴えて、せっかく心療内科に通っていても自己開示がうまくできず、肝心のセクシュアリティの問題を医者に話せていない人もいる。そんな人でも、顔の見えない相手に電話でなら話せる場合もあるんです」

そこで共生ネットはファイザープログラムの助成を受け、10年から「無料電話相談事業」を始めた。相談は通話料のかからないフリーダイヤルで、月曜日の18~21時までの3時間。2回線を使って、当事者支援の経験をもつ3人が応対しているが、3時間につき10件ほどの相談が寄せられ、回線が空いている時間はほとんどない状態が続いている。

本人の希望によっては、通院している病院につき添ってソーシャルワーカーに説明する、というように電話相談から直接支援へと移行することもある。

そして11年には電話相談の内容から大事な要素を抽出し、『電話相談員のためのセクシュアル・マイノリティ支援ハンドブック』を作成した。ハンドブックには「性の多様性」についての基本的な知識や、先入観や偏見によって陥りがちな「誤った相談対応例」などが載っている。

「セクシュアリティの悩みによって自信を失った結果、人間関係がうまくいかなくなったり、働けずに生活困窮に陥ったりというかたちで問題が表に現れるので、相談者がどの窓口に行くかわからない」と宇佐美さんは言う。

そのため、当初は共生ネットの電話相談員を育成する目的で作成したハンドブックが、今では、セクシュアル・マイノリティの当事者が相談に訪れる可能性のある公的な相談機関や困窮者支援、女性支援の団体でも広く活用されている。

10代への支援が課題 必要な多世代が話し合える場

写真:相談員のセルフケアも大切なテーマ。ファイザープログラム「セクシュアル・マイノリティ相談・支援員研修」(2013年6月)相談員のセルフケアも大切なテーマ。ファイザープログラム「セクシュアル・マイノリティ相談・支援員研修」(2013年6月)

セクシュアリティに関する複数の調査結果から、同性愛者は40人のクラスに一人はいるといわれている。しかし、ちょうど周りとの違いに気づく年齢であるはずの10代からの相談は少ない。

たとえば援助交際は、同性愛の子どもたちの間でも問題となっているが、ゲイであることを打ち明けられなくて誰にも相談ができず、感染症や暴力の問題が陰に隠れてしまっている。杉浦さんによれば、未成年者の支援は親権者との関係もあり、法的にも難しいところがあるという。

そこをどう突破して支援していけばいいのか、ファイザープログラムの一環として6月に東京・代々木で開催された「セクシュアル・マイノリティ相談・支援員研修」では、当事者支援に携わる人たちが知恵を出し合った。

「今の子どもたちは目立つのを嫌って、スクールカウンセラーにもなかなか相談に行かない。日本は若い人の生活があまりにも学校に集約されすぎていて、学校でも家でもない中間的なスペースが少ない。もっといろいろな年代の人が自由に相談し合えて、自分たちで場をつくっていける機会が必要だと思う」と原さんは話す。

将来的には若い人も安心して相談に訪れ、保護が必要な時には泊まっていけるような「ドロップイン・センター」の設立を検討している。

今回、代々木で開催された支援研修には、互いに名前だけは知っているものの接点のない支援団体が顔合わせをして問題や相談先、ノウハウなどを共有する狙いもある。今年10月には盛岡で、「第2回支援全国会議」を予定しており、今後も各地で開催していく予定だ。

服装が男性的なのに声が高いことから、どこにいても視線を向けられるという原さんだが、それがコミュニケーションのきっかけになることもあるという。

「あれっ?と不思議に思うことこそが、セクシュアル・マイノリティを知るきっかけになるんです。町で私たちのような人を見かけたら、思いきって声をかけてみてください。そのほうがうれしいし、そこから何かいいものが生まれる気がします」

NPO法人 共生社会をつくるセクシュアル・マイノリティ支援全国ネットワーク

セクシュアル・マイノリティへの根強い偏見を解消し、その視点を国や地方自治体の施策に反映させるための、当事者、支援者、専門家などで構成される全国組織。08年1月、市民講座「国に意見する方法」の参加メンバーが中心となって設立。12年10月にNPO法人化。事業内容は国や自治体への政策提言、直接支援、電話相談、講座・教育啓発、教材作成・出版、支援先に関する情報の収集・提供、シンポジウム開催などを通じてのネットワークづくりなど。

〒113-0033 東京都文京区本郷1丁目35-28 メゾンドール本郷302
TEL&FAX : 03-5840-7640
ホームページ : http://www.kyouseinet.org/
セクシュアル・マイノリティ悩みなんでも電話相談 : 0120-37-7867(毎週月曜日18~21時)

※名称・団体名はTHE BIG ISSUE掲載当時のものです。

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