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2013年度助成団体 BIG ISSUE掲載記事

先天性疾患や障害、難病をかかえる子どもたちをサポート
沖縄南部で培ったノウハウを北部で発揮
-NPO法人 療育ファミリーサポートほほえみ

沖縄南部を拠点に、障害や病気を抱える子どもの家族を支援してきた「療育ファミリーサポートほほえみ」。しかし、支援が行き届いていない北部の窮状に気づき、ニーズを探ろうと集いを開いた。そこから「親の会」が誕生し、ピアサポートへと発展。
その歩みを、理事長の福峯静香さんに聞いた。

「療育ファミリー」のための家事・育児サポートを始める

画像:理事長 福峯静香さん 理事長 福峯静香さん
写真:病院内で病児の見守りサポートの様子病院内で病児の見守りサポートの様子

2004年、「療育ファミリーサポートほほえみ」代表の福峯静香さんが団体を立ち上げた背景には、自身の体験があった。
「私の長男は、脳にしわが少ない滑脳症という障害をもって生まれてきました。ほとんど病院で過ごし、医療機器を持ち込んで家で過ごした時間はほんのわずかでしたが、それでも家事との両立は大変でした。いつ呼吸が止まるかもわからず、24時間目が離せない長男を気にしながら買い物に行き、食事を作り、上の娘の保育園の送迎もしなければなりませんでした。当時は、病気を抱えた子どもを対象にした訪問看護や訪問介護などのサービスを提供する福祉事業所は少なくて、一般のファミリーサポートを利用しようとしても『常に医療を必要とする子どもは預かれない』と言われ、制度のはざまに取り残された感じでした」

福峯さんの長男は04年5月に1歳11ヵ月で他界。看護師の資格をもつ福峯さんは、すぐに「ほほえみ」を立ち上げ、その年の9月には独自のサポート事業を始めた。先天性疾患や障害、難病を抱える子どもとその家族、「療育ファミリー」を有償ボランティアが支える仕組みで、基本料金は1時間600円と交通費。病院や学校への付き添い代行、預かりや外出支援、兄弟の世話などを行うというものだ。
「当初は50人くらいがサポーターとして登録し、日に10件近い依頼に対応していました。病院を退院し自宅に戻った子どもたちが、どんな生活をしているか知りたいといって来てくれた看護師さん、保育士さんなどがいました。資格のない方も、兄弟を保育園に送迎するサポートなどに加わってくれました」

04年当時、医療ケアが必要な子どもにも対応していた沖縄県内の福祉事業所は訪問看護が1ヵ所、デイサービスが1ヵ所のみ。「このまま私たちがサポートを続けるだけではなく、行政サービスの充実が必要」と考えた福峯さんらは、新しい福祉事業所ができるたび挨拶に出向き、「こんなニーズがあるので対応してほしい」と、自分たちの利用者をつなぐようにした。
「その結果、子どもにも対応してくれる事業所が増えて、私たちのファミリーサポートを利用する人はほとんどいなくなり、今では年に何度か、学校の運動会や発表会で依頼が重なり、事業所の手が足りなくなった時にサポートするくらいです」

福祉事業所も特別支援学校も足りない沖縄北部
親の声で、通学支援が村の事業に

写真:サポーター養成講座サポーター養成講座

沖縄本島は金武町あたりを境とする「北部」、宜野湾市あたりまでの「中部」、那覇市を中心とする「南部」の大きく3つに分けられる。福峯さんの自宅は南部にあるため、「ほほえみ」の活動範囲も中南部に限られてきた。
「ところが、メンバーの一人が北部の名護市に引っ越し、その現状を聞いて驚きました。広域で人口密度も低い北部は福祉事業所も訪問看護も足りず、重度の障害をもつ子どもが生まれると、家族ごと中南部へ引っ越すケースも多いというのです」

そこで、ファイザープログラムに応募。助成が決まった14年から、北部の療育ファミリーへの聞き取り調査に乗り出した。2ヵ月に1度のペースで「ゆんたく(おしゃべり)会」を開き、要望を聞いたところ、一番にあがったのは「通学バスの利用が困難な子どもの送迎サービスがほしい」という声だった。
「北部では特別支援学校まで片道1時間以上かかることも多く、途中で喀痰の吸引や酸素吸入が必要なお子さんだと2時間近くかかる。そこから家に戻り、午後2時か3時にはもうお迎え。片道だけでも誰か代わってくれれば家事ができるのに、というわけです」

ちょうど地元の国頭村で対応を検討していたため、週に2、3度、協働事業で、子どもを特別支援学校から自宅へ送り届けるサービスを行うことになった。
「村から委託された事業所が車を出すことになったのですが、付き添いの看護師が見つからず、看護師資格をもつ私たちのメンバーが半年同乗し、新しい看護師さんに引き継ぐかたちで実現しました」

ほかにも「腰痛におびえながら、身体の大きくなった子どもを自宅で入浴させている。入浴サービスがほしい」「特別支援学校を卒業した子どもの居場所がほしい」という声があがり、「ほほえみ」では引き続き解決の道を探っている。

「親の会」を法人化し、居宅介護や生活介護を行う事業所開設が目標

写真:金城美智子さん金城美智子さん
写真:障害をもつ子どもの親同士が情報交換障害をもつ子どもの親同士が情報交換

現在、「ほほえみ」から引き継ぐかたちで月に1度は開催しているという「ゆんたく会」は、親同士をつなぐ役割も果たしている。親の会代表の金城美智子さんは、こう話す。
「私には24歳になる脳性麻痺の娘がいますが、幸いにも行政サービスを利用できています。一方で、未就学や重度のお子さんをもつ若いお母さんのなかには希望するサービスにつながれず、苦労している方もいる。そんなお母さんが、ここで雑談しているなかから、有益な情報を得ていく。それが、顔を突き合わせて言葉を交わせるよさなのだと思います」

金城さんは14年11月、「ゆんたく会」のメンバーを中心とした「親の会」を結成。同じ頃、名護療育園の厚意で施設内の空きスペースを親の会の活動拠点として借りられることになった。家賃は無料。光熱費にはファイザープログラムの助成金を充てた。
「拠点ができたことで、助成2年目の今年は、月曜から金曜の朝10時から夕方4時まで、障害児を育てた経験のある『ピアサポーター』が、療育ファミリーの悩みに答える相談事業を始めることができました。なかには子どもが特別支援学校に行っている時間を利用して、相談事業を担当するお母さんもいて、経験を活かしつつ収入を得られることが励みになっています」と福峯さん。

この日は「てんかんをもっていて、体力がない5歳の息子のことで食事や水分補給、今後の手術について相談したい」という、お母さんが訪れていた。

さらに、南部で実績を積んだ「ファミリーサポート事業」を北部でも開始。拠点ができたことで、利用者やサポーターの自宅以外で子どもを預かることが可能になった。

北部でも最終的には行政サービスへつなぐことが目標だが、「新しい事業所にサポートをお願いする時は、私たちのメンバーが最初のうちは支援に入り、お母さんの要望をヘルパーさんに伝えながら、つなぐようにしている」という。

そして、ゆくゆくは「親の会」を法人化し、居宅介護や生活介護を行う福祉事業所を開設して、その運営を任せられるようにするのが「ほほえみ」の目標だと福峯さんは語る。
「親や本人の気持ちを一番知っているのは親のみなさん。すでに看護や介護を実践しているわけですし、資格をもつ人もいる。お子さんが学校やデイサービスに行っている時間を利用すれば、当事者の気持ちに沿ったサービスをきっと提供できるはずです。このように行政サービスを充実させていくことも、もちろん大事ですが、いくら体制が整っても、その情報が必要としている人に届かなければ意味がありません。2年前から発行している季刊誌『Family』などを通して、私たちも発信を続けていきます」

写真:雑誌『Family』雑誌『Family』

NPO法人 療育ファミリーサポートほほえみ

04年、有志による有償ボランティアグループとして設立。06年にNPO法人化。沖縄県本島に住む、障害や病気を抱える子どものいる家族をサポート。病院や学校への付き添い代行、見守りや預かり、送迎や外出支援、兄弟の世話、療育相談など、行政支援だけでは十分でない療育ファミリーの生活を底辺から支えている。

TEL : 090-9781-8966
ホームページ : http://w1.nirai.ne.jp/s-fuku/hohoemi/
雑誌『Family』はホームページでご覧いただけます。
http://www.ryouikufamily.com

※名称・団体名はTHE BIG ISSUE掲載当時のものです。

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