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2015年度助成団体 BIG ISSUE掲載記事

困難を抱える女性と子どもの居場所「WACCA」。
出会いがもたらす「場の力」で仲間づくり、学び、就労準備
-認定NPO法人 女性と子ども支援センター「ウィメンズネット・こうべ」

神戸市に、シングルマザーやDV被害女性など、さまざまな困難を抱えた女性とその子どもたちのための「WACCA」という居場所がある。生活再建を支える新たな取り組みと、そこに集う女性たちが抱える悩みと課題を聞いた。

安心と尊重が感じられる「居場所」をつくろう

画像:代表理事 正井 禮子さん 代表理事 正井 禮子さん

「ウィメンズネット・こうべ」は1992年、兵庫県に当時はまだなかった「女性センター」をつくろうと考えた女性たちによって設立された。活動の変遷を代表理事の正井禮子さんは、こう話す。

「女性たちが抱える問題について学習会を開いたり、女性の生き方を支援する情報誌『女の伝言板』を発行したり、94年の春には、メンバー10人で5万円の家賃を出し合って『女たちの家』という居場所をつくりました。1泊500円で宿泊できるようにしたところ、DV被害者の女性から問い合わせが相次ぎました。その矢先の95年1月に阪神・淡路大震災が起きたため女たちの家は閉鎖し、その後の10年は4畳半の事務所で女性のための電話相談や語り合いの場を続けてきました」

「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)」ができる01年までは、毎年約1000件の相談があり、その多くがDVに関する内容だった。01年に付き添い支援、05年には女性を緊急一時保護するシェルターを始める中で、退所後も周囲に自分の過去を話せず、地域で孤立する母子をたくさん目にしたと正井さんは言う。
「児童虐待は貧困と孤立の中で起こりやすいんです。DV被害にあった母子を孤立させないためにも、気軽に相談ができてサポートも受けられる『居場所』が必要だと思い、さまざまな困難を抱えた女性と子どもの居場所『WACCA』を13年にオープンしました」

理事の茂木美知子さんは、「ここができて、ボランティアとしていろんな人たちが参加してくださるようになり、私たちの活動を知ってもらう機会が増えました」と言う。

情報や生き方のモデルに出会う 子どもの学習支援がきっかけでつながる女性も

写真:理事 茂木 美知子さん理事 茂木 美知子さん

「WACCA」で、さまざまな人と出会うことによって生まれる「場の力」がもたらす効果を茂木さんは感じている。「シングルマザーや若年女性への学習支援(WACCAスクール)をしているんですが、最近、23歳で4歳と5歳の子を育てながら、ここで高卒認定試験の勉強をしているシングルマザーの女性が、同じ境遇の友達を連れてきました。彼女たちはスマホで友達と連絡を取り合うなど、たくましく生きている印象を受けますが『助けて』と言える場所や制度があることは意外と知らない。エネルギーはあるので情報さえあればチャンスをつかめるし、ここへ来れば生き方のモデルとなるボランティアの大人たちもいます。夫から『お前がおかしい。お前が俺を怒らせるんだ』と暴力を振るわれ続けた女性も、同じ境遇の人と出会うことで自分が悪くなかったことに気づき、夫の呪縛が解けたと話してくれたこともありました」

「WACCA」では、午前中は「就労準備支援」の一環として、チャリティーショップの商品である古着のアイロンがけや検品などの作業を行っている。売上の一部は「ウィメンズネット・こうべ」への寄付となる。午後からは、ファイザープログラムの助成を活用して、さまざまなプログラムを展開している。講座参加費は1回100円。
「からだほぐしやプラネタリウムの上映などのほか、月に2回は英会話教室も開いています。英語の学習は自尊心を高めるだけでなく、普段しゃべらない人を饒舌にする効果もあるんです。予約制でキャリアカウンセラーによる就労支援もしています。ひとり親家庭の子どもの学習支援も無料でしていますが、子どもが縁でお母さんも作文の書き方や面接の仕方を学び、看護学校に合格しました」

また、母親はうつ病、子どもは不登校という親子が、子どもが学習支援に通うことで適度な距離ができて、ともに元気になり登校を再開した例もあるという。「私たちは子どもを見る時も、常にその背景にいるお母さんの問題を見るようにしています。どんなきっかけでもいいので、必要な人に支援を届ける関係をつくりたい」と茂木さんは話す。

利用者アンケートを支援に生かす DVは個人ではなく社会の問題

写真:WACCA塾で学ぶ子どもたちWACCA塾で学ぶ子どもたち

さらに助成を利用し「WACCA」の利用者50人以上を対象としたアンケートや聞き取り調査を行う計画も進んでいる。「30~50代の利用者に、心身の健康状態、具体的に困っていること、参加してからの変化、望んでいる支援について、ヒアリングします。『WACCA』開設以来、目の前のニーズだけを見て突っ走ってきましたが、今、社会福祉と社会学専門の大学の先生にも入ってもらいながら具体的な支援策をまとめておきたい。結果をデータ化することで、女性の居場所づくりや心のケアの重要性を行政や市民にも訴えやすくなります」と正井さん。

高学歴の女性で「周りから羨まれるような結婚」をしたものの、結婚後に夫の暴力が始まり、命の危険を感じて逃げてきたケースもある。しかし、「大人が困難に陥ったのは自己責任」と考える傾向の強い日本では、「DVで傷ついた女性が安心できる場所」は少なく、生活再建を支える仕組みづくりはなかなか進まない。DV被害への正しい理解を広め、「DVは個人ではなく社会全体の問題」という認識をもってもらうために「ウィメンズネット・こうべ」では、DV・デートDV防止啓発講座や中高生へのデートDV防止授業も行っている。

「きっかけは、ある少女との出会いです。彼女は中絶を経験し、10代で結婚して子どもを出産しました。『結婚前から彼に殴られてきたけど、殴ることは男らしさや愛情の証なんだと思っていた。けれど、彼が赤ちゃんにも暴力をふるうので別れた。中学校で30分でもデートDVについて授業があれば、私の人生は変わっていたのに』と話してくれました」

ボランティアの高齢化や財政基盤が安定しないなど、組織としての課題も多いが、正井さんにはかなえたい夢がある。
「1階に女性が就労できる食堂とチャリティーショップ、2階に『WACCA』と私たちの事務所が入り、3階にはシングルマザーと子どもたちが安心して暮らせる居住空間がある。そんな『居場所』ビルを実現したい。神戸市内で建物を提供してくださる方、会員として活動を継続的に応援してくださる方を募集しています」

認定NPO法人 女性と子ども支援センター
ウィメンズネット・こうべ

1992年、男女平等社会実現のための学びと出会いの場を求めて発足。学習会・講演会の開催、DV被害女性や子どもの支援、民間シェルター運営、DV・デートDV防止活動、困難を抱える女性と子どもの居場所「WACCA」運営、女性への情報発信など。

ホームページ :
http://wn-kobe.or.jp/
http://wacca-nagata.jimdo.com/

※名称・団体名はTHE BIG ISSUE掲載当時のものです。

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