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2015年度助成団体 BIG ISSUE掲載記事

セクシュアル・マイノリティのための就労相談
性の多様性は誰にとっても自分の問題
“望む性のあり方”で働ける社会を目指す
-NPO法人 PROUD LIFE

今や、13人に1人ともいわれる「LGBT」(※1)。 ようやくメディアでも取り上げられるようになってきたが、職場で直面する問題など、当事者にしかわからない悩みはまだまだ多い。
今年1月から、就労に関する電話相談を始めた名古屋の「PROUD LIFE」を訪ねた。

分野を超えた理解者で結成 LGBT当事者をエンパワメント

画像:代表理事 安間 優希さん 代表理事 安間 優希さん

名古屋市に「PROUD LIFE」が設立されたのは2011年7月。代表理事の安間優希(あんま・ゆき)さんは、「当時はセクシュアル・マイノリティをサポートする社会資源が少なく、名古屋にはそういった活動をするNPOがなかった。地元で生まれ育った人が多く、身内への発覚を恐れるLGBTにとって、名古屋は住みにくい面もある」という。

さらに「当事者でなければ問題を理解できないのでは」との思いから、セクシュアル・マイノリティの団体は他分野の市民活動との交流が少ない傾向にあった。しかし、さまざまな分野からLGBTに関心を寄せる人々が集まり、教育者や弁護士、産婦人科医などが中心となって、当事者をエンパワメントする団体である「PROUD LIFE」が立ち上がった。

12年からは毎年秋に、LGBTとアライ(allyより理解者の意)が、繁華街である栄や矢場町一帯を練り歩く「虹色どまんなかパレード」を開催。自らのセクシュアリティを表現するコスチュームを身にまとい、当事者の声を伝えるプラカードを掲げて歩くパレードを通して、LGBTの存在を社会にアピールしてきた。パレードは軌道に乗り、今は独立した実行委員会が運営している。

当事者を中心とする「PROUD LIFE」の会員は100人を数え、2ヵ月に1度は「虹色ラウンジ」という交流会をもつ。「先日は、定年を迎えたカナダ在住のゲイの方が、老後の過ごしかたについて問題提起してくださった。コミュニケーションやメンタルに困難を抱えているLGBTも多いので、今後はそういうグループミーティングも開きたい」と安間さんは話す。

セクシュアル・マイノリティを取り巻く社会問題について、一般の人に広く知ってもらう市民講座を開催するとともに、LGBTに必要な制度を行政に求めるアドボカシー活動も行ってきた。そして、設立当初から力を入れてきたのがLGBT当事者や家族、友人のための電話相談「レインボー・ホットライン」だ。

在職トランスの難しさ 業務とは無関係な悩みも

写真:LGBT向け法律・医療相談を実施するPROUD  LIFE理事の弁護士・医師LGBT向け法律・医療相談を実施するPROUD LIFE理事の弁護士・医師

「週に1度3時間の相談なので、13年12月にフリーダイヤル化してからは電話が鳴りっぱなし。件数も4割ほど増えました。ネット社会だからこそ情報収集が苦手な人は孤立しやすく、電話は重要なツールです」

相談するのが初めてという人は多く、「LGBTとしての自分に迷いを感じている」「自分と同じような当事者に会ってみたいが、どうしたらいいか」といった相談や、人間関係の悩みが主に寄せられる。しかし、中には「LGBTに理解のある弁護士や医療機関を教えてほしい」といった“公的な窓口には行きづらいが、具体的な解決策を必要としている人”からの相談もある。とりわけ、就労に関する悩みは深刻だ。

「トランスジェンダーの場合、自分の性に対する違和感が徐々に強くなる。特に男性は社会的責任が重くなる30代以降に自覚するケースが多く、嘘をつき続けるか、すべてを捨てるかと選択を迫られることもあります」。戸籍上は男性の安間さんも38歳の時、働きながら女性にトランス(※2)した。「私の場合は理解ある職場でしたが、トイレや更衣室などに関しては、企業側は当事者と話し合いながら受け入れ方を対応するしかありません」

そこで今年1月に、ファイザープログラムの助成で、LGBTの当事者や支援者からの就労に関する相談に乗る「セクシュアル・マイノリティ就職・職場電話相談」を開設。当事者が相談員となり、時には同行支援も行う。その結果、意外な実態も見えてきた。

たとえば、戸籍上は男性だが女性として会社に採用されたトランスジェンダーの当事者からは、「休憩時間に恋愛の話をしたり、お菓子をやり取りしたりする女性特有の文化になじめず、同僚から『本当は女じゃないんでしょう?』と言われて職場にいづらくなった」という相談が寄せられた。このように「他人との距離の取り方」や「休憩時間の過ごし方」といった、業務と無関係のことで悩んでいる人は少なくない。

性の多様性はすべての人の問題 LGBT基本法ができれば

写真:「虹色ラウンジ」で、ファシリテーターをつとめる副代表理事の風間孝さん「虹色ラウンジ」で、ファシリテーターをつとめる副代表理事の風間孝さん

「自分のこだわりを伝えられず苦労している点では発達障害の人の困難にも似ていて、その就労支援のノウハウは参考になります。その人の特性を理解した上で、仕事の能率が上がる環境を整えることは企業にとって、そんなに難しくないはず。まずは波及効果のある大企業が、本人の望む性のあり方で働ける制度を実践してくれることを願っています」

「虹色どまんなかパレード」とタイアップし、イベントの期間中、企業に「LGBTフレンドリー宣言」をしてもらうキャンペーンも展開している。
「レインボーフラッグを掲げたり、セクシュアリティに関する社員研修を実施したりするなど、できることから始めてもらってLGBTに寛容な企業を増やし、いずれはLGBTの学生向けの就職説明会を企画したい。現に、人材不足の業種ではLGBTに着目する企業も現れ始めています。男女共同参画社会基本法に基づいて各自治体に女性相談窓口ができ、セクハラに対する認識が変わってきたように、相談事業はもっと広がると思う。将来、相談事業が拡大した時に制度を担える人的資源を育成しているつもりで、電話相談に取り組んでいます」

セクシュアル・マイノリティのサポートというと、特定の人の問題に取り組んでいると思われがちだが、「性とはこういうものだという考えを押しつけられて生きづらさを感じているのはLGBTの人たちだけではないはずだ」と安間さんは言う。
「セクシュアリティはグラデーションのように一人ひとり違っていて、性の多様性は本来、誰にとっても自分の問題であるはず。LGBTにとって働きやすい企業や暮らしやすい社会を追求していけば、すべての人が自分らしく生きられる社会になる。『好きでやっているんでしょ。しょせん他人事』という人もまだいますが、『学校で勉強して興味をもった』といって、LGBT当事者でない方が会員になるケースも増えています。電話相談事業を通して具体的なニーズを拾うことと、困っている人をつなぐことができるような、LGBTに理解のある支援者のネットワークづくり。その両方を進めていきたいと思っています」

  • ※1 13人に1人というのは、2015年4月、電通ダイバーシティ・ラボ(電通総研)がインターネットを通じて、全国の20~50代の7万人を対象に行ったアンケート調査による。 女性同性愛者(レズビアン)、男性同性愛者(ゲイ)、両性愛者(バイセクシャル)、自らの性同一性に違和感を持つ者(トランスジェンダー)、をそれぞれ頭文字で示した語。「性的マイノリティ」を総称した表現として使われることが多い。
  • ※2 生まれついた性別とは違う性別になること。
写真:チラシ

NPO法人 PROUD LIFE

名古屋・東海地域を中心に活動するセクシュアル・マイノリティ支援のNPO法人。LGBTの当事者・理解者・専門家らが集まり、相談活動やイベント開催などを通じて、多様な性と多様な生き方の選択が保障される社会を目指す。

ホームページ : http://www.proudlife.org/

  • 「セクシュアル・マイノリティ就職・職場電話相談」
    0120-51-9451
    月曜日20時~23時 第2土曜日18時~22時
  • 「レインボー・ホットライン」
    0120-51-9181
    月曜日19時~22時

※名称・団体名はTHE BIG ISSUE掲載当時のものです。

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