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2016年度助成団体 THE BIG ISSUE掲載記事

障害者を雇用、就労も支援する「保育園」と「病気の子どもと家族の会」がコラボ
地域を巻き込む活動へと発展中
-社会福祉法人 はなみずき会 & ニモカカクラブ

埼玉県飯能市で保育園の運営や障害者の就労支援をしてきた「はなみずき会」。一方、難病の長女を抱え、病気の子どもと家族が集える居場所を探していた一人の女性。両者の出会いから生まれたコラボ事業。病気の子と家族が集うイベント開催、居場所づくり、地域との交流イベント、そして就労支援へと広がりつつある活動の軌跡を聞いた。

“家庭保育”から始まった 障害を持つ人の就労支援の場

画像:ニモカカクラブ代表 和田 芽衣さん(写真右) / ぽかぽかキャリア・アカデミー施設長 伊勢 裕次郎さん(写真左) / 副園長 大河原えり子さん(写真中央) ニモカカクラブ代表 和田 芽衣さん(写真右) / ぽかぽかキャリア・アカデミー施設長 伊勢 裕次郎さん(写真左) / 副園長 大河原えり子さん(写真中央)
画像:ぽかぽか保育園の様子(写真左) / 園児の昼食を運ぶ利用者さん(写真右) ぽかぽか保育園の様子(写真左) / 園児の昼食を運ぶ利用者さん(写真右)

「はなみずき会」の歴史は、“家庭保育”から始まった。会が運営する「ぽかぽか保育園」副園長の大河原えり子さんはこう話す。「保育園に入れなかったお子さんの保育をお母さんに頼まれて、預かったのが始まりでした」

「次第に人数が増えていき、保育園の現園長と一緒に、理事長の自宅で家庭保育室を始めました。そのうち、軽度の知的障害のある小学生が特別支援学級の帰りに学童保育感覚で立ち寄るようになり、高等部に進学してからは、ボランティアとして子どもたちの面倒をみてくれるようになりました」

ちょうどその頃、2006年に社会福祉法人の認可を受け、翌年には「ぽかぽか保育園」を立ち上げた。「ボランティアに来ていた小学生が高等部を卒業するタイミングとも重なったので、“障害者雇用第1号”として保育園で雇用することになりました」

その後、保育園では最大7人の障害者を雇用したが、「働きたい」との問い合わせは増え続け、13年に就労継続支援A型事業所「ぽかぽかハート・ヴィレッジ」を開所。施設管理者の伊勢裕次郎さんは「彼らが保育園で掃除や食器の片づけをしてくれるおかげで、保育士が子どもと向き合う時間が増える。保育士や子どもたち、保護者に感謝されることで自信がわくのでしょう。表情がどんどんよくなっていきます」と話す。

保育園のほかにも、事業所内のレストランの厨房やウエイトレス、事務仕事、高齢者宅の草取り、ポスティング、地域の工場での労働など、多様な仕事を用意することで22人が働けるようになった。また、ここから地域の企業に就労していく人も出てきた。周囲の音が気になって保育園の個室で伝票整理をしていたという男性も工場への就職が決まったという。

今年1月には、就労に向けた訓練が必要な人のための就労移行支援事業所「ぽかぽかキャリア・アカデミー」も開所した。敷地内には、活動に共鳴した経営者の協力のもと「安川ぽかぽか接骨院」も開業し、「障害者の職業訓練や健康講座を行う“地域のサロン”」となっている。受付や院内のポップ書きなどは利用者が行うほか、仕事帰りに健康相談に立ち寄り、施術を受けていく光景も珍しくないという。

退院後、子どもが安心して遊べる場と家族の居場所

写真:「世界希少・難治性疾患の日」での当事者交流会「世界希少・難治性疾患の日」での当事者交流会

現在、「はなみずき会」と共に、「病気の子どもと家族の居場所づくり」事業に取り組む任意団体「ニモカカクラブ」代表の和田芽衣さんも「ぽかぽか保育園」に、次女・三女を預ける保護者の一人だった。長女が生後9ヵ月の時、「結節性硬化症」という難病を発症。

和田さんは「それまで私は大学病院で心理士として患者さんや家族、遺族の心のケアを担当していました。脳腫瘍をはじめとした小児がんの子どもとかかわることも多く、入院中は『手術でここ切ったんだぜ』と安心して病気のことを話せた子たちが、退院後も同じような境遇の友達と集まって話せる場がつくれないものかと、いつも思っていたんです」と言う。

長女の発症後、退職を決めた和田さんの子育ては孤独だった。「ほかの子の病気が感染すれば、軽症では済まず入院が必要になることもあり、気軽に子育てセンターにも連れていけませんでした」

そんな時、「2月のレアディジーズデイ(世界希少・難治性疾患の日)」の存在を知った和田さんは、14年に東京で開かれた当事者や家族が集うイベントにベビーカーを押して参加した。そこで子どもを連れた人に出会えなかったことがきっかけで、15年に、元同僚の心理士と「ニモカカクラブ」を設立。「子育てを一人で抱え込んでしまう構造を変える」ために、おもに未就学の病気の子どもと家族が「安心して遊びに行ける場」と「仲間と出会う機会」をつくることにした。

まずは年に一度の「レアディジーズデイ」のイベント開催から始め、15年は町の小さなカフェ、16・17年は「はなみずき会」が運営するバリアフリーのレストランが会場となった。「今年は九州から来た方も含め、87人の当事者と家族が参加しました」

一方で、当初から念願だった「病気の子どもと家族の居場所づくり」は難航した。場所の確保ができても「楽しく遊び回る子どもの安全を守るのがやっとで、お母さんたちの話を落ち着いて聞くことができませんでした」。

月2回は当事者と家族のカフェ イベントを通して非当事者を協力者に

そこで「はなみずき会」とともにファイザープログラムの助成を受け、今年からは第1火曜と第3金曜の月2回、「スペシャルキッズカフェ」を開催。どちらも「ぽかぽか保育園」の保育士と看護師が子どもたちを見守る中で行われる。「カフェの間、お母さんはのんびり本を読んでもいいし、手仕事で子どものものを作ってもいい。そこで、ぽろっと出てくる本音を丁寧に集めて今後の活動に活かしたいと思っていて、来年は聞き取り調査も行う予定です」

とはいえ、「いつ入院になるかわからない子どもを抱えたお母さんたち」による会の運営を安定させるには、非当事者を協力者として呼び込むことが欠かせない。今後、運営スタッフを集めることにも力を入れていくという。また、子どもが大人になっても生きやすい社会を目指し、年に2回は「障害がある人もない人も一緒に過ごす地域交流イベントの日」を設けた。

「5月には飯能市在住のトイクリエーターを迎えて、空き箱などでおもちゃをつくるワークショップを開きました。11月には、飯能市で生産される“西川材”のかんなくずを使ったクリスマスリースづくりを予定しています」

参加者には「病気への理解や感染リスクへの配慮」を求めていくことも必要で、まずはスタッフが正しい知識を身につけるための勉強会も不定期に開催している。

今後の課題は「病気の子をもつお母さんの就労支援」だと、和田さん。「子どもの通院のために、仕事を休まざるを得なくなり、私のように生涯続けるつもりだった仕事を辞めたお母さんは少なくないでしょう。理事長に『週1でいいから、うちで働かない?』と誘ってもらったあるお母さんは、『働くという選択肢すら遠い昔に忘れていた』と泣いていました。子どものそばにいるという選択も、家庭のために働くという選択も、状況に応じて選べる世の中になるといいですね」

また、大河原さんは「ぽかぽか保育園」では医療ケアの必要なダウン症の子どもを保育した経験があるので、「外に出にくいお母さんのために、障害を持つお子さんや難病のお子さんの療育を検討しているところです」と言う。和田さんは「共感してくださる人とのさらなる出会いを求めています」と言って微笑んだ。

社会福祉法人 はなみずき会

2006年に法人格を取得。埼玉県飯能市を拠点に、保育園と障害者の就労支援事業を運営。法人内の各事業所の機能や特性を活かし、地域に根ざしたネットワークを構築している。

ホームページ :https://hanamizukikai.jimdo.com/

ニモカカクラブ

2015年に任意団体として発足した、病気の子どもと家族(親・きょうだい児)の会。団体名は「苦労が多い日々にもかかわらず笑っていたい」との願いを込めて命名。

TEL :090-5530-2393
メール :nimokakaclub@gmail.com

※名称・団体名はTHE BIG ISSUE掲載当時のものです。

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