報道関係各位
2021年4月8日
ファイザー株式会社
ファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:原田明久)は、米ファイザー社(NYSE:PFE)が3月25日(現地時間)に、リアルワールドエビデンスにより、ホルモン受容体(HR)陽性ヒト上皮成長因子受容体2型(HER2)陰性進行・再発乳がんに対するイブランスの一次治療における実臨床での有用性が確認されたと発表したことをお知らせいたします。
転移乳がん治療薬イブランスは、世界初のCDK4/6阻害剤として米国において2015年、日本で2017年に承認されました。
このたび、実臨床におけるエビデンスの1つとして、イブランスをHR+HER2-進行・再発乳がんの一次治療で用いた場合の米国における実臨床での有用性(原題: Comparative effectiveness of first-line palbociclib plus letrozole versus letrozole alone for HR+/HER2− metastatic breast cancer in US real-world clinical practice)が論文化されました。
これにより、イブランスの承認取得を裏付けた大規模臨床試験PALOMA2, 3に加えて、様々な背景の患者さんを含んだ日常診療下での有効性データも明らかになりました。
***以下、グローバルプレスリリース一部抜粋・翻訳***
リアルワールドエビデンスから、イブランス®(一般名:パルボシクリブ)の併用療法による、HR陽性HER2陰性の転移性乳がん一次治療の有効性が確認
~CDK4/6阻害剤とレトロゾールの併用療法、とレトロゾール単剤療法を比較した、無増悪生存期間と全生存期間を評価する初の大規模有効性比較解析~
ニューヨーク州ニューヨーク、2021年03月25日-ファイザー社(NYSE:PFE)は本日、ホルモン受容体陽性(HR+)ヒト上皮成長因子受容体2型陰性(HER2-)の転移乳がん(mBC)に対するイブランス(一般名:パルボシクリブ)とレトロゾールの併用療法を用いた一次治療が、レトロゾール単剤療法と比較して、リアルワールド無増悪生存期間(rwPFS)および全生存期間(OS)の改善と関連することを示すリアルワールドエビデンスが査読誌に掲載されたことを発表しました。本結果は、日常診療におけるCDK4/6阻害剤での治療による生存期間についての初の包括的有効性比較解析で、本日『Breast Cancer Research』オンラインに掲載されました。
追跡期間中央値は約2年間であり、ベースライン時の人口統計学的特性と臨床特性を調整したところ、本後ろ向きリアルワールド観察解析では、rwPFS中央値は、イブランスとレトロゾールの併用群で20.0カ月、レトロゾール単剤群で11.9カ月でした(HR=0.58、95% CI:0.49~0.69、p<0.0001)。OS中央値は、イブランス併用群で未達、レトロゾール単剤群で43.1カ月でした(HR=0.66、95% CI:0.53~0.82、p=0.0002)。これは、42%の疾患進行のリスク減少、また、34%の死亡リスク減少に相当します。
ファイザー社グローバル製品開発オンコロジー部門の最高開発責任者であるChris Boshoff(M.D., Ph.D.)は、次のように述べています。「リアルワールドエビデンスは、今では、無作為化臨床試験を補完し、乳がん治療に革新をもたらし、発展させる上で欠かせません。6年以上の臨床経験、良好なベネフィット・リスクプロファイル、確固たる臨床データならびにリアルワールドデータに基づいてエビデンスを総合的に検証すると、HR+HER2 - 転移乳がん治療において、イブランスと内分泌療法の併用療法が果たす役割は堅固たるものといえます」
解析では、2年全生存率はイブランス群で78.3%、レトロゾール単剤群では68.0%であることも明らかになりました。rwPFSと全生存期間のベネフィットは、若年患者(18~50歳)、転移の部位または程度を含むすべてのサブグループでおおむね一貫していました。
本研究の主任研究員であり、ペンシルベニア大学ペレルマン医学部Breast Cancer ExcellenceのAngela DeMichele教授(M.D.)は、次のように述べています。「リアルワールドエビデンスは、従来の無作為化臨床試験を補完し、日常診療における治療薬の有効性について理解を深め、治療上の決定の参考にするために使われるようになっています。このたびの画期的なリアルワールドエビデンスで得られた知見は、私自身が担当するイブランスの併用療法で治療している患者さんにおいて経験してきた前向きな印象と一致しています」
この後ろ向き観察解析では、Flatiron Healthの匿名化された縦断的データベースが使用されました。データベースには、全米280カ所以上のFlatrionネットワークの地域がんクリニックと、主ながん拠点病院とのパートナーシップにより、診療データが含まれています。本リアルワールドコホートには、内臓への転移の状況にかかわらず1,400人以上のHR+HER2 - 転移乳がん患者さんが含まれます。本解析にあたり、安全性情報は収集されていません。
イブランスのリアルワールドエビデンス・プログラムについて
イブランスは、米国食品医薬品局(FDA)に初めて承認されて以来、6年以上の実績を有し、世界100カ国以上で38万人以上の患者さんに処方されてきました。こうした経験を基に、ファイザーは、CDK 4/6阻害剤について最も幅広いリアルワールドエビデンスを構築しています。このたびのリアルワールドエビデンス・プログラムは、世界中の4,000人以上の患者さんが参加する複数の試験からデータ構築を行っており、現在も拡張を続けています。具体的には、IRIS、POLARIS、MARIA、MADELINEといった試験では、臨床診療の一環として、治療を受けたさまざまな背景の患者さんから、PALOMA無作為化臨床試験を補完する臨床アウトカム、トランスレーショナルデータ、およびQOL(クオリティ・オブ・ライフ)評価項目に関するデータを収集します。ファイザーは、結果が明らかになり次第、これらの試験から得られる新たなデータを引き続きサイエンスコミュニティと共有していきます。
【ファイザー株式会社 取締役 執行役員 オンコロジー部門長 サビーネ・ジリアムより】
「本邦においてイブランスが上市されてから4年が経過しました。それまで内分泌療法が標準治療だったHR+HER2 - 転移乳がん治療に、CDK4/6阻害剤として日本で初めて承認されたイブランスはパラダイムシフトをもたらし、イブランスと内分泌療法の併用療法が多くの患者さんならびにご家族に貢献していることを誇りに思います。
昨年、日本乳癌学会『乳癌診療ガイドライン』が改訂され(2018年版Ver.4)、CDK4/6阻害薬は、“閉経後ホルモン受容体陽性転移・再発乳癌に対する一次内分泌療法として、アロマターゼ阻害薬とサイクリン依存性キナーゼ4/6阻害薬の併用を行うことを強く推奨する”と記載され、唯一の強い推奨となりました。このたび明らかになったリアルワールドエビデンスとともに、引き続きイブランスの適正使用推進に尽力してまいります。
また弊社は日本において、転移乳がん患者さんのためのサポートプログラムであるMy choice programを展開しています。このプログラムを通じて、患者さんの治療満足度の向上とQOLの向上に貢献するとともに、イブランスを通じて、日本における進行乳がんの患者さんへ貢献していきます」
<参考資料>
【イブランスについて】
イブランスは、CDK4/6を阻害する経口分子標的薬です1。CDK4/6は、細胞周期の調節に主要な役割を果たしており、細胞増殖を引き起こします。イブランスはCDK4/6を選択的に阻害して、細胞周期の進行を停止させることにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています2,3。
米国では、初回内分泌療法としてのアロマターゼ阻害剤との併用療法において、閉経後女性または男性を対象として、「HR+HER2-進行・転移乳がん」、また、フルベストラントとの併用療法において、閉経前または閉経後女性を対象として、「内分泌療法で疾患進行を認めたHR+HER2 -進行・転移乳がん」の適応で承認されています。イブランスは、HR+HER2-転移乳がんに対してFDA(米国食品医薬品局)に承認された併用療法において、米国でもっとも処方されている経口薬です4。
イブランスは、世界95カ国以上で承認され、30万人を超える患者さんに処方されています(2020年5月時点)4。
【My Choiceプログラムについて】
「今までの暮らしを続けるために、よりよい選択をしたい」 一人ひとりが、その人らしい選択で、これからも転移・再発乳がんとともに毎日を送ることができるよう、エビデンスに基づいた医療情報やお金に関する制度等を掲載しております。乳がん患者さんの声を取り入れ、日本の患者さんのために展開するプログラムで、これからも患者さんとそのご家族に寄り添ってまいります。
Webサイト
https://mychoiceprogram.jp/index.html#home
<出典>
1.IBRANCE® (palbociclib) Prescribing Information. New York. NY: Pfizer Inc: 2019.
2.Weinberg, RA. pRb and Control of the Cell Cycle Clock. In: Weinberg RA, ed. The Biology of Cancer. 2nd ed. New York, NY: Garland Science; 2014:275-329.
3.Sotillo E, Grana X. Escape from Cellular Quiescence. In: Enders GH, ed. Cell Cycle Deregulation in Cancer. New York, NY: Humana Press; 2010:3-22.
4.https://investors.pfizer.com/investor-news/press-release-details/2019/Pfizer-Presents-New-Evidence-of-IBRANCE-palbociclib-Effectiveness-in-HR-HER2--Metastatic-Breast-Cancer-Patients-in-Four-Real-World-Studies-at-ESMO-Congress-2019/default.aspx
ファイザーオンコロジーについて
ファイザーオンコロジーは、がんとともに生きる患者さんの生活に意義のある影響をもたらす治療薬の進展に注力しています。グローバルにおいて、乳がん、前立腺がん、腎細胞がん、肺がん、白血病やメラノーマ(悪性黒色腫)を対象に、業界屈指の30を超える適応症を有する22の革新的ながん治療薬やバイオシミラー製品を提供しています。私たちは、がんとともに生きることに変革をもたらすべく邁進していきます。
ファイザーについて:患者さんの生活を大きく変えるブレークスルーを生みだす
ファイザーはサイエンスとグローバルなリソースを活用し、人々が健康で長生きし、生活を大きく改善するための治療法をお届けしています。私たちは、革新的な医薬品やワクチンを含むヘルスケア製品の探索・開発・製造における品質・安全性・価値の基準を確立するよう努めています。ファイザーの社員は、生命や生活を脅かす疾患に対するより良い予防法や治療法を提供することで、日々、世界中の人々の健康に貢献しています。世界有数の革新的医薬品企業の責務として、信頼できる医療に誰もが容易にアクセスできるように、世界中の医療従事者、政府、地域社会と協力しています。人々の期待に応えるため、私たちは170年以上にわたり前進し続けてきました。詳細はホームページをご覧ください。
(米ファイザー本社)www.pfizer.com
(日本法人)www.pfizer.co.jp
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企業目的・Values & Behaviors・事業概要
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