ファイザー株式会社（本社：東京都渋谷区、代表取締役社長：原田明久）は、本日8月25日に、円形脱毛症の治療薬として、経口JAK3/TECファミリーキナーゼ阻害剤「リトレシチニブトシル酸塩カプセル」（一般名：リトレシチニブトシル酸塩、以下、リトレシチニブ）の製造販売承認申請を厚生労働省に行いました。

本申請は、全頭型および汎発型を含む円形脱毛症を有する患者を対象とした、国際共同試験（ALLEGRO-2b/3、ALLEGRO-LT）の結果等に基づくものです。リトレシチニブ投与群（50 mgおよび30 mg群）は、主要評価項目である第24週時のSALT≤20達成割合（SALT：Severity of Alopecia Toolは脱毛症の重症度評価ツールであり、SALT≤20は頭部脱毛が20%以下であることを意味します）において、プラセボと比較して統計的に有意な改善を示しました。また、リトレシチニブの忍容性、安全性は良好でした。

【ファイザーR&D合同会社 社長 石橋 太郎のコメント】

臨床試験にご参加いただいた患者さんと治験実施医療機関の皆さまに感謝申し上げます。リトレシチニブが円形脱毛症の患者さんにとって有効な治療選択肢のひとつとなるよう、承認取得に向けて関係各位と引き続き協業してまいります。

【ALLEGRO試験について】

ALLEGRO-2b/3試験は、中等症から重症の成人および青少年（12歳以上）の円形脱毛症患者を対象に、リトレシチニブの有効性および安全性を評価した後期第2相/第3相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、用量設定試験です。
ALLEGRO-LT試験は、成人および青少年（12歳以上）の円形脱毛症患者を対象に、リトレシチニブの安全性および有効性を評価した第3相、非盲検､長期投与試験です。

【リトレシチニブについて】

ATP（アデノシン三リン酸）結合部位の遮断により、JAK（ヤヌスキナーゼ）3および5種類のTECファミリーキナーゼを不可逆的に阻害する共有結合形成型の経口投与可能な低分子製剤です。本剤はJAKファミリーキナーゼのうちJAK3に対する選択性が極めて高く、JAK1、JAK2、TYK（チロシンキナーゼ）2に対する阻害活性はほとんど示しません。円形脱毛症の病態に関与するIL-15、IL-21の共通γ鎖受容体のシグナル伝達をJAK3阻害により強力に抑制し、CD8陽性T細胞およびNK細胞の細胞溶解能をTECファミリーキナーゼ阻害により抑制することから、治療効果が期待できると考えられます。

【円形脱毛症について】

円形脱毛症は斑状の脱毛を特徴とする自己免疫疾患で、免疫細胞が健康な毛包を攻撃することで脱毛症状が起こります。多くの場合、頭皮で脱毛しますが、時には顔（眉毛、まつ毛、ひげ）を含む頭部全体や全身に症状が出ることがあります。平均発症年齢は25～35歳ですが、高齢者、子ども、青年にも影響があり、性別、人種を問わず発症します。また、多くの患者さんにおいて健康関連QOLが低下し¹、うつ病や不安神経症などの深刻な心理的影響が生じる可能性があります。

ファイザーと炎症・免疫部門について

ファイザーの炎症・免疫部門では、自己免疫疾患や慢性の炎症性疾患を抱えて生活されている患者さんが日々の苦しみから解放されるような、画期的な治療薬を提供するよう日々尽力しています。これらの疾患は体を衰弱させ、苦痛を伴い、生活に大きな影響を及ぼします。当社の関節リウマチ、炎症性腸疾患、皮膚疾患に重点を置いた既存の治療薬と治験段階のポートフォリオは、低分子薬、生物学的製剤、バイオシミラーなどの分子標的治療薬で、様々な機序のものが広範にわたります。本領域において、業界で最も幅広いパイプラインと合わせ、患者さんの生活を大きく変えるべく、研究開発に取り組んでおります。当社の数十年にわたる本領域へのコミットメントと先駆的サイエンスを基軸として、これらの疾患をお持ちの患者さんに対する標準的治療の進化を続け、患者さん、介護者、医療従事者の皆さまと協力し、慢性の炎症性疾患に関する多くの課題に向き合い、患者さんが最良の生活を送れるよう最善を尽くしてまいります。詳細はwww.pfizer.com/science/immunology-inflammation （英語）をご参照ください。

ファイザーについて：患者さんの生活を大きく変えるブレークスルーを生みだす

ファイザーはサイエンスとグローバルなリソースを活用し、人々が健康で長生きし、生活を大きく改善するための治療法をお届けしています。私たちは、革新的な医薬品やワクチンを含むヘルスケア製品の探索・開発・製造における品質・安全性・価値の基準を確立するよう努めています。ファイザーの社員は、生命や生活を脅かす疾患に対するより良い予防法や治療法を提供することで、日々、世界中の人々の健康に貢献しています。世界有数の革新的医薬品企業の責務として、信頼できる医療に誰もが容易にアクセスできるように、世界中の医療従事者、政府、地域社会と協力しています。人々の期待に応えるため、私たちは170年以上にわたり前進し続けてきました。詳細はホームページをご覧ください。

1 Health-related quality of life in patients with alopecia areata: Results of a Japanese survey with norm-based comparisons J Dermatol. 2022 Jun;49(6):584-593. doi: 10.1111/1346-8138.16364. Epub 2022 Mar 28.