データで示す、円形脱毛症患者さんの「見えないつらさ」
ファイザーが実施した「円形脱毛症の患者さんが経験するスティグマの実態を明らかにする」研究が、「EVIDENCE AWARDS 2025」(主催・一般社団法人EVIDENCE STUDIO)で優秀賞に選ばれました。研究では、円形脱毛症は見た目だけでなく、患者さんの精神面に大きな負荷を与えていることが数値で示されました。研究を担当したアクセス&バリュー統括部のカメイに話を聞きました。
INDEX
「EVIDENCE AWARDS」は、一般社団法人EVIDENCE STUDIOが主催する、医療・行政・企業・市民が、根拠(エビデンス)に基づく政策・サービス・研究やアクションを共有し、“エビデンスで社会を動かす”取り組みを表彰する場です※1。

アクセス&バリュー統括部のカメイ
ファイザーは「EVIDENCE AWARDS 2025」のファイナリストに選ばれ、円形脱毛症の患者さんが感じる「見えないつらさ」に焦点を当てた研究結果※2をカメイがプレゼンテーションしました。
円形脱毛症は、円形や楕円形に髪の毛が抜けてしまう病気です。多くの人は10円玉サイズの脱毛を思い浮かべますが、重症になると脱毛範囲が広がり、頭の毛が全て抜けてしまうこともあります。また、まつ毛やまゆ毛など、身体のどの部分にも脱毛が起こる可能性があります※3。今回は、18歳以上の円形脱毛症の患者さん471人を対象とした調査結果を解析しました。
たとえば、「円形脱毛症であることを恥ずかしいと思いますか?」との質問に対して「大いにある」と回答した患者さんは19.5%、なんらかの程度の恥ずかしさを含めると70.3%が、恥ずかしいと感じていました。
円形脱毛症の重症度で分けると、軽症(347人)の15.3%、中等症(100人)の26.0%、重症(24人)の54.2%が「大いにある」と回答し、重症になるほど、恥ずかしさを感じる割合が高くなる傾向が見られました。
また、「円形脱毛症であることを他の人に知られている場合、他の人はあなたを否定的に判断すると思うことがありますか?」についても、全体の55.0%の患者さんがそう感じていることが示されました。
カメイは当日のプレゼンを振り返ります。
「今回の研究は、円形脱毛症に関する理解促進を目的としたものであり、特定の治療法や医薬品を推奨するものではありませんでした。幅広いバックグラウンドの方に伝わるように、一目で理解できるスライド作りとわかりやすい説明を心掛けました。審査員の方からは、『疾患に苦しむ患者さんのことを考えるきっかけになる』といったコメントをいただき、取り組みの意義を伝えることができたと思いました」
ファイザーが円形脱毛症の研究や啓発に取り組むのは、「見た目」の病気だからこその特有の課題があると思われるからです。
「6年以上、この病気に関わる仕事をしていますが、患者さんは悩んでいるにも関わらず、そのことが社会に十分理解されていないように感じます。たとえば2022年のアカデミー賞授賞式にて、脱毛症が揶揄される、悲しいことが起きました」とカメイは述べます。
「患者さんは、『毎日鏡を見るたびに自信を失う』『他人の目が気になる』『家に閉じこもりがちになる』『他人から否定的に扱われると感じる』といった悩みを抱えています。しかし、患者さんの負荷に関する研究は主に海外のものでした。そこで社内の関係部署、ならびに脱毛症の専門医の先生方とともにさまざまな角度から日本での負荷を解析し、可視化することにしました」
これまでファイザーは、患者さんの「QOL(生活の質)」や「経済的負荷」、それに「病気に対する医師と患者さんの認識の違い」などについて研究し、結果を医学誌に報告してきました。円形脱毛症の患者さんのQOL低下や、医療費負担、生産性低下の大きさが明らかになり、多くの医師が参照する日本皮膚科学会の診療ガイドライン※3にも研究成果が引用されています。
患者さんのQOLに焦点を当てた研究では、46.0%の患者さんに不安障害の疑い、41.8%の患者さんに抑うつの疑いが見られることがわかり、円形脱毛症が特に精神面に影響を与える可能性が示唆されました※4。
「こうしたエビデンスの積み重ねで、病気に対する社会の理解が深まり、患者さんのつらさが軽減されることを望んでいます。自治体や企業が患者さんへの支援を意思決定する際には、このようなエビデンスを活用することによって、より説得力が高まると言えます」(カメイ)
では、私たち一人ひとりは患者さんにどのように接すればよいのでしょうか。その点についてもカメイに聞いてみました。
「脱毛症の診療に当たる医師によると、受診すること自体で安心する患者さんもいるそうです。『自分のことをわかってくれる人に話を聞いてもらいたい』という気持ちの表れだと思います。一方、病気について触れてほしくないという思いがある可能性も含めて、患者さんを理解する気持ちで話を聞くようにしてはいかがでしょうか。一度、『自分や家族が円形脱毛症だったら…』とイメージして、一緒に患者さんのことを考えてみませんか」
ファイザーは、患者さんとそのご家族が病気の原因などについて理解を深める一助にしていただくため、情報サイト「円形脱毛症.jp」を開設しています。今回の研究結果や情報サイトが、患者さんの「見えないつらさ」を知るきっかけになればと期待しています。
)関連リンク
■円形脱毛症.jp
https://www.enkei-datsumou.jp/ 