報道関係各位
2024年3月26日
ファイザー株式会社
ファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:原田明久)は、本日、抗悪性腫瘍剤「ベスポンサ®点滴静注用1mg」〔一般名:イノツズマブ オゾガマイシン(遺伝子組換え)。以下、本剤〕について、小児の再発又は難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病に対する国内における医薬品製造販売承認事項一部変更承認を取得しました。
今回の承認は、小児の再発又は難治性急性リンパ性白血病患者を対象とした2つの医師主導治験、国内第1相試験(INO-Ped-ALL-1試験)および海外第1/2相試験(ITCC-059試験)の結果に基づいています。これにより、小児の再発又は難治性急性リンパ性白血病の治療に本剤が新たな治療選択肢として加わることとなります。
独立行政法人国立病院機構 名古屋医療センター 小児科顧問 上席研究員の堀部敬三先生は次のように述べています。「イノツズマブ オゾガマイシンは抗がん薬を結合した抗体薬物複合体(ADC:antibody-drug conjugate)であり、再発又は難治性急性リンパ性白血病において治療による感染症等の合併症リスクを低減し、単剤で深い寛解に導くことで、造血細胞移植やキメラ抗原受容体T(CAR-T)療法への橋渡しとしての役割を担う新たな寛解導入治療薬として期待されます。治癒を目指した治療戦略において、今後は造血細胞移植を考慮する際の肝中心静脈閉塞症(VOD)/肝類洞閉塞症候群(SOS)のリスク低減の方法など、本剤の使用方法の最適化の検討が望まれます」
ファイザー株式会社 取締役 執行役員 オンコロジー部門長のジョンポール・プリシーノは次のように述べています。「本日、ベスポンサの小児の再発又は難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病の適応追加の承認を得ることができたことを大変うれしく思います。当社は医療機関や関連学会と連携し、この新しい治療選択肢を小児の患者さんにお届けすることで、小児の再発又は難治性急性リンパ性白血病治療のギャップを埋めてまいります。そして、今後も適正使用推進のための情報提供活動を進めてまいります」
<参考情報>
小児の急性リンパ性白血病について
急性リンパ性白血病は、造血幹細胞からリンパ系に分かれた幹細胞(リンパ系幹細胞)ががん化した疾患で、がん化した細胞(白血病細胞)が骨髄で異常に増え、正常な赤血球、白血球、血小板がつくられなくなることで発症します。主な症状として、貧血、息切れ、動悸、疲れやすい、感染症にかかりやすい、出血しやすいといったことが挙げられます1,2。急性リンパ性白血病は小児にも成人にも発症し、小児急性リンパ性白血病は化学療法が効きやすい場合が多いこと、小児は強い化学療法に耐えられることなどから、成人に比べ小児のほうが長期生存率が高いことが知られています3。また、小児急性リンパ性白血病は小児期に発生する造血器悪性疾患の中で最も高頻度にみられ、2~5歳に発症することが多く、小児10万人あたり年間3〜4人が発症し、日本では年間約500人の小児が新規に診断されています4。
国内第1相試験(INO-Ped-ALL-1試験)および海外第1/2相試験(ITCC-059試験)について5
小児の再発又は難治性急性リンパ性白血病患者を対象とした国内第1相試験および海外第1/2相試験では、本剤の高い完全寛解率と微小残存病変(MRD)陰性率が認められ、寛解持続期間、造血幹細胞移植(HSCT)またはCAR-T細胞療法への移行率、無イベント生存率(EFS)、全生存期間(OS)、非寛解または再発の累積発生率も良好な結果が得られました。また、両試験において本剤は、成人の再発又は難治性急性リンパ性白血病患者と同様に、管理可能な安全性プロファイルを示しました。
ベスポンサ®点滴静注用〔一般名:イノツズマブ オゾガマイシン(遺伝子組換え)〕について
ヒト化抗CD22モノクローナル抗体(IgG4、イノツズマブ)にオゾガマイシン(細胞傷害性抗腫瘍性抗生物質カリケアマイシン誘導体)をリンカーを介して共有結合させた抗体薬物複合体(ADC)です。CD22陽性細胞への高い選択性により、殺腫瘍細胞効果と毒性の低減が期待されます。本剤は、日本では成人の「再発又は難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病」を適応症として2018年1月に承認されました。
【製品概要】
ベスポンサ®点滴静注用1mg |
|
日本名:イノツズマブ オゾガマイシン(遺伝子組換え) |
|
再発又は難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病 |
|
通常、イノツズマブオゾガマイシン(遺伝子組換え)として1日目は0.8mg/m2(体表面積)、8及び15日目は0.5mg/m2(体表面積)を1日1回、1時間以上かけて点滴静脈内投与した後、休薬する。 |
|
2018年1月19日 |
|
薬価収載日 |
2018年4月18日 |
発売年月日 |
2018年4月18日 |
効能又は効果、 |
2024年3月26日 |
ファイザーは血液がんに対する7つの治療薬を含め、承認済みの24種類のがん治療薬とバイオシミラー医薬品のポートフォリオを有し、業界をリードしています。私たちは、科学的な研究を血液がん患者さんのための革新的な医薬品へと変えるために、過去十数年間にわたり、大胆かつ新しいアプローチを採用してきました。私たちは、日々血液がんと向き合う患者さん、また、今後血液がんと診断される可能性のある患者さんのために、「患者さんの生活を大きく変えるブレークスルーを生みだす」という使命を果たすべく邁進しています。
ファイザーオンコロジーは、がん治療の新たな時代を切り開く最先端にいます。業界をリードするポートフォリオと広範なパイプラインには、様々な角度からがんを攻撃し、従来の治療を大きく変える作用機序を持つ、抗体薬物複合体(antibody-drug conjugates:ADC)、低分子化合物、二重特異性抗体、免疫療法などが含まれます。私たちは、乳がん、泌尿生殖器がん、血液がん、メラノーマ(悪性黒色腫)、大腸がん、婦人科がん、肺がんを含む胸部がんなど、世の中の主要ながんに対する変革的な治療薬を提供することに注力しています。サイエンスを推進し、患者さんの生活を改善するブレークスルーを加速することを私たちはお約束します。
ファイザーはサイエンスとグローバルなリソースを活用し、人々が健康で長生きし、生活を大きく改善するための治療法をお届けしています。私たちは、革新的な医薬品やワクチンを含むヘルスケア製品の探索・開発・製造における品質・安全性・価値の基準を確立するよう努めています。ファイザーの社員は、生命や生活を脅かす疾患に対するより良い予防法や治療法を提供することで、日々、世界中の人々の健康に貢献しています。世界有数の革新的医薬品企業の責務として、信頼できる医療に誰もが容易にアクセスできるように、世界中の医療従事者、政府、地域社会と協力しています。人々の期待に応えるため、私たちは175年以上にわたり前進し続けてきました。詳細はホームページ、公式SNSをご覧ください。
(米ファイザー本社)www.pfizer.com
(日本法人)www.pfizer.co.jp、Instagram 、X
1 薄井紀子:急性リンパ性白血病(ALL)の基礎と臨床 医薬ジャーナル社:2, 2016
2 秋山秀樹:”第Ⅱ章1.血液、一般検査”急性リンパ性白血病(ALL)の基礎と臨床 薄井紀子編 医薬ジャーナル社:32, 201
3https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/all.html#section2
4http://www.jsco-cpg.jp/childhood-leukemia/guideline/#I
5 社内資料(薬理薬効試験)
関連リンク
会社概要
企業目的・Values & Behaviors・事業概要
米ファイザー本社プレスリリース
ファイザー製品開発品一覧