報道関係各位
2024年5月31日
ファイザー株式会社
ファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:原田明久)は、RSウイルスワクチン「アブリスボ®筋注用」(一般名:組換えRSウイルスワクチン。以下、本剤)を本日発売しました。
『アブリスボ®筋注用』 製剤写真
RSウイルスワクチンは、厚生労働省の「予防接種に関する基本的な計画」1において、開発優先度の高いワクチンとしての指定を2014年に受けています。本剤は妊婦およびその乳児を対象とした国際共同第3相試験(MATISSE試験)2、および60歳以上の成人を対象とした国際共同第3相試験(RENOIR試験)3の中間解析結果に基づき、「妊婦への能動免疫による新生児及び乳児におけるRSウイルスを原因とする下気道疾患の予防」の適応を2024年1月18日に、「60歳以上の者におけるRSウイルスによる感染症の予防」の適応を3月26日にそれぞれ承認取得しました。
本剤は、新生児および乳児の下気道疾患予防においては妊娠24~36週の妊婦に1回接種し、60歳以上においても妊婦と同じ量を1回接種することでRSウイルス感染症の予防が期待できる、国内唯一のワクチンです。
ファイザー株式会社 取締役 執行役員 ワクチン部門長の藤本陽子は次のように述べています。「RSウイルス感染症は多くの乳幼児や高齢者を苦しめ、命を奪ってしまうこともある感染症です。特に生後6か月齢の感染は重症化することが多く、治療は対症療法に限られるため、ワクチンの開発が長く待ち望まれていました。1960年代から行われたRSウイルスワクチン開発は、有効性や安全性において困難に直面していましたが、当社は母体から乳児への移行抗体という接種方法で開発を進めてまいりました。このたび、乳幼児と高齢者において、有効性と安全性が臨床試験で確認されたアブリスボを日本で発売できたことを大変嬉しく思います。アブリスボを必要とする方々に確実に届けられるよう、今後も、安定供給や医療従事者への適正使用情報の提供、RSウイルス感染症の啓発を通じて、より健康な世界の実現に向けて邁進してまいります」
本剤は、米国では、母子免疫による6ヵ月以上の乳幼児の予防、および60歳以上における予防について、2022年3月にそれぞれブレークスルーセラピー(画期的新薬)指定を受けました。母子免疫の適応は、米国食品医薬品局(FDA)から2023年8月に承認を取得し、米国疾病管理予防センター(CDC)の予防接種実施に関する諮問委員会(ACIP)の推奨を同年9月に受けています。60歳以上の適応はFDAから2023年5月に承認を取得し、ACIPの推奨を同年6月に受けました。
EUでは、母子免疫および60歳以上の適応について欧州医薬品庁(EMA)から2023年8月に承認を取得しています。
その他の国および地域については、2023年9月にアルゼンチン、11月に英国、2024年1月にカナダ、2月にマカオ、3月にオーストラリアにおいても承認されています。
<参考情報>
RSウイルス感染症について
RSウイルスは世界中に広く分布し、ほぼすべての子どもが2歳までに感染するとされています。乳児の細気管支炎やウイルス性肺炎の主な原因であり、特に生後6ヵ月齢未満で感染すると重症化するといわれています4。日本では、毎年約12万~14万人の2歳未満の乳幼児がRSウイルス感染症と診断され、その約4分の1が入院を必要とすると推定されています5。RSウイルス感染による2歳未満の乳幼児の入院は、基礎疾患を持たない場合も多く、生後1~2ヵ月時点でピークとなるため5、生後早期から予防策が必要とされています。日本ではRSウイルス感染症は感染症法で5類感染症に指定されており6、小児科定点医療機関の届出に基づき流行状況が探知されています。
また、RSウイルスは60歳以上の成人でも呼吸器感染症の主な原因のひとつとして、呼吸器系に影響を与え、重篤な転帰となる可能性があり1,4,5,6、RSウイルス感染症は慢性閉塞性肺疾患(COPD)やうっ血性心不全などの慢性疾患を悪化させることが報告されています7,8。最近の研究によると、RSウイルスは先進国の60歳以上の成人において年間約470,000例の入院と約33,000例の死亡原因とされ、日本では約63,000例の入院と約4,500例の死亡原因と推定されています9。
MATISSE(MATernal Immunization Study for Safety and Efficacy)試験について2
本試験は第3相、多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照国際共同試験です。試験には、妊娠中の健康な母親と、母親から生まれてきた乳児それぞれ7,000人以上が参加しました。本剤が接種された母親においては、ワクチンの安全性および免疫原性、乳児においては本剤のRSウイルスを原因とする医療機関の受診に至った下気道疾患の予防に対する有効性、安全性、および免疫原性をそれぞれ評価しました。本試験の中間解析結果は2023年4月にThe New England Journal of Medicineに公表されました。
RENOIR(RSV vaccine Efficacy study iNOlder adults Immunized against RSV disease)試験について3
本試験は第3相、多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照国際共同試験で、約37,000人が参加し、本剤とプラセボに1:1の比で無作為割り付けされました。60歳以上の成人に対する本剤のRSウイルスを原因とする下気道疾患の予防に対する有効性、安全性、免疫原性をそれぞれ評価しました。本試験の中間解析結果は2023年4月にThe New England Journal of Medicineに公表されました。
アブリスボ®筋注用(一般名:組換えRSウイルスワクチン)について
本剤の開発は、米国国立衛生研究所(NIH)による融合前Fタンパク質の結晶構造などに関する基礎研究に基づいています。Fタンパク質はRSウイルスがヒト細胞に侵入する際に利用されるタンパク質であり、本研究で、RSウイルスの融合前Fタンパク質をベースとするワクチンが、RSウイルス感染を予防する可能性があることが示唆されました。このNIHの発見に基づき、ファイザーは多数の融合前Fタンパク質構造体を評価し、非臨床研究で強力な抗ウイルス免疫応答を誘導するワクチン抗原を特定しました。本剤は組換えDNA技術を応用しチャイニーズハムスター卵巣細胞より産生されたRSウイルスAおよびBの融合前Fタンパク質を混合した二価ワクチンです。
【製品概要】
アブリスボ®筋注用 |
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日本名:組換えRSウイルスワクチン |
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・妊婦への能動免疫による新生児及び乳児におけるRSウイルスを原因とする下気道疾患の予防 |
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効能又は効果に関連する注意 |
〈妊婦への能動免疫による新生児及び乳児におけるRSウイルスを原因とする下気道疾患の予防〉 |
〈妊婦への能動免疫による新生児及び乳児におけるRSウイルスを原因とする下気道疾患の予防〉 |
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用法及び用量に関する注意 |
〈妊婦への能動免疫による新生児及び乳児におけるRSウイルスを原因とする下気道疾患の予防〉 |
〈妊婦への能動免疫による新生児及び乳児におけるRSウイルスを原因とする下気道疾患の予防〉 |
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発売年月日 |
2024年5月31日 |
製造販売元 |
ファイザー株式会社 |
ファイザーはサイエンスとグローバルなリソースを活用し、人々が健康で長生きし、生活を大きく改善するための治療法をお届けしています。私たちは、革新的な医薬品やワクチンを含むヘルスケア製品の探索・開発・製造における品質・安全性・価値の基準を確立するよう努めています。ファイザーの社員は、生命や生活を脅かす疾患に対するより良い予防法や治療法を提供することで、日々、世界中の人々の健康に貢献しています。世界有数の革新的医薬品企業の責務として、信頼できる医療に誰もが容易にアクセスできるように、世界中の医療従事者、政府、地域社会と協力しています。人々の期待に応えるため、私たちは175年以上にわたり前進し続けてきました。詳細はホームページ、公式SNSをご覧ください。
(米ファイザー本社)www.pfizer.com
(日本法人)www.pfizer.co.jp、Instagram 、X
1. 厚生労働省 予防接種に関する基本的な計画2014 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/kihonteki_keikaku/index.html
2. Bivalent Prefusion F Vaccine in Pregnancy to Prevent RSV Illness in Infants | NEJM
3. Efficacy and Safety of a Bivalent RSV Prefusion F Vaccine in Older Adults | NEJM
4. 国立感染症研究所(IASR Vol. 43 p79-81:2022年4月号)https://www.niid.go.jp/niid/ja/rs-virus-m/rs-virus-iasrtpc/11081-506t.html
5. Kobayashi Y, Togo K, Agosti Y, et al.Epidemiology of respiratory syncytial virus in Japan:
A nationwide claims database analysis
Pediatr Int. 2022 Jan;64(1):e14957.
6. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/kekkaku-kansenshou11/01.html#list07
7. Murata Y, Falsey AR. Respiratory syncytial virus infection in adults. Antivir Ther. 2007;12(4 Pt B):659-70
8. Stephanie A Kujawski et al. PLoS One 2022 Mar 9;17(3):e0264890. doi: 10.1371/journal.pone.0264890. eCollection 2022.
9. Savic M et al..Influenza Other Respir Viruses. 2023 Jan;17(1):e13031. doi: 10.1111/irv.13031. Epub 2022 Nov 11. PMID: 36369772; PMCID: PMC9835463.
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