報道関係各位
2026年5月19日
ファイザー株式会社
ファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:五十嵐啓朗)は、本日、働く人の片頭痛に関する経済損失額試算および意識調査の結果を発表しました。
本調査では、月4日以上の頭痛または片頭痛の症状で日常生活に支障をきたしている20~69歳の就労者1,040名を対象に、片頭痛による経済損失額を試算し、また、仕事・家庭・私生活への影響や、受診に至らない理由を可視化しました。その結果、症状を抱えながらも無理をして働き続けることによる「生産性低下・見えない時間損失」が、個人にも社会全体にも大きな影響を及ぼしている可能性が示唆されました。
主な調査結果は、以下の通りです。
【調査結果の主なポイント】
働く人の片頭痛に起因する経済損失額は、年間「約1.5兆円」にのぼる
片頭痛の症状が出ても無理をして働く最多の理由として、「市販薬の使用や我慢で何とか勤務できるから」と回答した割合が約75%を占める一方、そのうち約74%で実際には仕事への悪影響が生じていた
過去に片頭痛と診断された経験があるにもかかわらず、現在通院していない人は約20%おり、「市販薬で対処できると思ったから」「通院する時間や手間が負担だから」といった認識が通院をしない背景にあることが示唆された
一方で、市販薬での対処に「完全に満足」している人は20%台にとどまった
片頭痛が原因で、月に合計19日分の、“通院に要する時間を大きく上回る規模”の生活時間が失われていた。この内訳は、仕事における欠勤・遅刻・早退・生産性低下により月10日分、いつも通りこなせない家庭のことにより月5日分、いつも通り過ごせない趣味・余暇により月4日分であった
受診・通院をしない背景には、「症状を言い出しにくい/理解されにくいと感じる」といった、周囲の理解不足や偏見(スティグマ)の存在も示唆され、仕事においては約84%もの人が「周囲に症状を言えなかった/症状を隠した/症状を理解してもらえなかった」と回答した
スティグマが示唆される状況には性差も見られ、片頭痛の症状が出ても無理をして働く理由として、女性は「代替が効かないことや、周囲の迷惑への不安」、男性は「職場の評価やキャリアへの不安」が多かった
周囲に片頭痛の症状を「言えなかった/理解してもらえなかった」と感じた場面として、女性は「職場」、男性は「家庭」「趣味・余暇」と回答した人が多く、沈黙を強いられる場面にも性差が見られた
過去に片頭痛と診断された経験があるにもかかわらず現在通院していない人において、医療機関で「予防・治療できる」とわかれば、約87%が「受診したい」と回答しており、片頭痛治療に関する適切な情報提供の重要性が示唆された
働く人の片頭痛に起因する経済損失額は、年間「約1.5兆円」
出勤しながらも、片頭痛が原因で「業務に支障をきたした」時間を年間で集計した「年間総生産性低下損失(プレゼンティーズム)」は、約6,200億円でした。また、片頭痛が原因で、欠勤・遅刻・早退した時間を年間で集計した「年間総欠勤損失(アブセンティーズム)」は、約9,500億円でした。
働く人の片頭痛に起因する経済損失額は、上記の欠勤などによる直接的な損失と、出勤していても生産性が低下する間接的な損失を合わせ、年間1兆5,700億円規模にのぼりました。
【試算概要】
計算式 ※時間換算アプローチ
年間総生産性低下損失(プレゼンティーズム)
患者数 × 月間の片頭痛の影響があった労働時間 × 12か月 × 平均時給
※プレゼンティーズムとは、世界保健機関(WHO)によって提唱された、健康問題に起因したパフォーマンスの損失を表す指標です。欠勤にはいたっておらず勤怠管理上は表に出てこないが、健康問題が理由で生産性が低下している状態のことです。5)
本調査では、そうした「本来得られたはずの成果との差分」を社会的コストとして時間換算で試算しています。
年間総欠勤損失(アブセンティーズム)
患者数 × (月間の欠勤日数 × 1日の労働時間 + 月間の遅刻・早退の時間) × 12か月 × 平均時給
※アブセンティーズムとは、WHOによって提唱された、健康問題に起因したパフォーマンスの損失を表す指標で、健康問題による仕事の欠勤(病欠)のことです。6)
本調査では、丸1日欠勤した時間と遅刻・早退した時間を合計して「欠勤」と扱っています。
変数設定
項目 | 数値 | 備考 |
患者数 | 1,389,456人 | 給与所得者数51,370,000人1) × 片頭痛有病率8.4%2) × 月4日以上の片頭痛発作患者32.2%3) |
月間の欠勤日数 | 2日 | 今回の意識調査より算出(中央値) |
1日の労働時間 | 7.78時間4) | - |
月間の遅刻・早退の時間 | 7.5時間 | 今回の意識調査より算出(中央値) |
月間の片頭痛の影響があった労働時間 | 15時間 | 今回の意識調査より算出(中央値) |
平均時給 | 2,471円 | 平均給与478万円1) ÷ 年間の平均労働時間1934.1時間※ |
<出典>
1. 国税庁「民間給与実態統計調査」 
2.F sakai, H Igarashi. Prevalence of migraine in Japan: a nationwide survey
3.Dawn C. Buse et al. Demographics, Headache Features, and Comorbidity Profiles in Relation to Headache Frequency in People With Migraine
4. 厚生労働省「令和6年就労条件総合調査」 
5. 厚生労働省「こころの耳 用語解説:プレゼンティーズム」 
6. 厚生労働省「こころの耳 用語解説:アブセンティーズム」
市販薬や我慢でやり過ごせると考えている人の全員が、実際にはやり過ごせていない
片頭痛の症状が出ても無理をして働く最多の理由として、「市販薬の使用や我慢で何とか勤務できるから」と回答した人が約75%いる一方、そのうち約74%が、実際には仕事への悪影響(欠勤、遅刻・早退、業務への支障)が生じていました(図1)。これにより「やり過ごせているつもり」という認識と実態の乖離が明らかになりました。
図1

受診をしない理由は「市販薬で何とかなるはず」や「通院時間や手間が負担」という認識から
過去に片頭痛と診断された経験があるにもかかわらず、現在通院していない人は約20%おり、「市販薬で対処できると思うから」「通院する時間や手間が負担だから」といった認識が通院をしない背景にあることが示唆されました(図2)。
図2

市販薬でのやり過ごしに「完全に満足」しているのは20%台にとどまる
直近1年間で通院経験があるかどうかに関わらず、約92%の人が片頭痛の症状を和らげるために市販薬を使用しており、そのうち市販薬でのやり過ごしに「完全に満足」している人は20%程度にとどまりました(図3)。
図3

片頭痛により、「通院に要する時間を大きく上回る規模」の生活時間が失われている
片頭痛の人の約99%が、仕事・家庭・趣味のいずれかで片頭痛による悪影響が生じており、仕事・家庭・私生活を合算すると、月に延べ19日分もの生活時間が失われていました(図4)。仕事では、欠勤・遅刻・早退・生産性低下により月10日分、いつも通りこなせない家庭のことにより月5日分、いつも通り過ごせない趣味・余暇により月4日分でした(図4)。これは、通院に要する時間を大きく上回る規模と推測されます。
図4

約84%が仕事において「周囲に症状を言えなかった/隠した/理解してもらえなかった」
片頭痛について、「周囲に症状を言えなかった/隠した/理解してもらえなかった」のいずれかを回答した人は、仕事の場面では約84%、家庭の場面では約74%、趣味・余暇の場面では約69%でした(図5)。片頭痛は「個人の問題」として埋もれやすく、スティグマが存在していることが示唆されました。
図5

スティグマには性差もある ―無理をして働く理由、周囲に症状を言えない場面などの違い
スティグマが示唆される状況には性差も見られ、片頭痛の症状が出ても無理をして働く理由として、女性は「代替が効かないことや、周囲の迷惑への不安」、男性は「職場の評価やキャリアへの不安」が多い傾向でした(図6)。さらに、周囲に片頭痛の症状を「言えなかった/理解してもらえなかった」と感じた場面として、女性は「職場」、男性は「家庭」「趣味・余暇」と回答した人が多く、沈黙を強いられる場面にも性差が見られました(図7)。
図6

図7

医療機関で「予防・治療できる」とわかれば約87%が「受診したい」 ―啓発の重要性
過去に片頭痛と診断された経験があるにもかかわらず現在通院していない人において、医療機関で「予防・治療できる」とわかれば、約87%が「受診したい」と回答しており、片頭痛治療に関する適切な情報提供によって行動が変わる可能性が示唆されました(図8)。
図8

【本調査・試算監修:日本頭痛学会認定専門医・五十嵐 久佳 先生のコメント】
「今回の調査結果から、片頭痛の症状があっても、『我慢すれば乗り切れる』『市販薬で何とかなる』と考え、適切な予防・治療につながっていない実態があることがわかりました。その場しのぎでのやり過ごしが続き、仕事や日常生活に大きな悪影響を及ぼしている可能性が改めて示されたと感じます。
片頭痛は、適切に予防や治療を行うことで、症状の慢性化を防ぐことができる疾患です。実際に、早期に医療機関で予防・治療を開始することで、患者さんからは『痛みのない仕事や家庭生活がこんなにも(これまでと)違うとは。楽になった』『頭痛に振り回される時間が減った』といった声を聞いています。
さらなる課題として、適切に受診できていない状況が続くと、市販薬の使用過多による頭痛、いわゆる薬物乱用頭痛(MOH)を招いたり、症状が慢性化したりして、生活にさらなる悪影響を及ぼす恐れもあります。
また、特に仕事面において片頭痛は、正社員として働くことやキャリアアップなど、「職場で何かをあきらめざるを得なかった女性の健康課題」として、がんより多く、第6位7に挙げられているとの報告もあります。
片頭痛は決して“単なる”頭痛、“我慢すべき/我慢で何とかなる”不調ではありません。正しい情報に基づき、早めに医療機関を受診することが、ご本人の生活の質を守るだけでなく、社会全体にとっても重要であることを、片頭痛を持っている方たちだけではなく、周囲の方を含め多くの方にぜひ知っていただきたいと考えています」
【監修医プロフィール】
五十嵐 久佳(いがらし・ひさか)
富士通クリニック内科(頭痛外来)、北里大学医学部脳神経内科学 客員教授。
頭痛専門医として患者の話を丁寧に聞き、一人ひとりの症状に合った治療、服薬指導を行う。日本頭痛学会の指導医として、頭痛専門医の育成、頭痛医療の研究と成果を国内外に発信している。
1979年北里大学医学部を卒業、同大学神経内科に入局、英国The City of London Migraine Clinicでの研修を経て、北里大学医学部内科(神経内科)講師に。宮内庁病院内科医長、神奈川歯科大学教授などを経て現在は富士通クリニック、東京クリニックで頭痛外来を担当。

【調査概要】
調査主体 | ファイザー片頭痛チーム |
調査手法 | オンラインアンケート調査/日本全国 |
有効回答 | 1,040名 |
調査対象 | 役員または正社員の会社員、公務員(20~69歳)で、 |
片頭痛について
片頭痛はしばしばみられる疾患であり、日本では成人人口の約8.4%、世界では約14%が罹患しています。日本における有病率は男性で3.6%、女性は男性の約3倍の12.9%と報告されています。特に20歳から40歳の女性が多く罹患8,9していますが、医療機関への受診率が低いことが指摘されています10。典型的な片頭痛は、頭の片側にズキズキと脈打つような中等度から重度の頭痛が4~72時間持続することが特徴で、吐き気や嘔吐を伴うことが多く、通常は気にならないような光、音、においを不快に感じる方が多いとされています11。また頭痛が始まる直前に視覚異常などの前兆を伴う患者さんも一部にいらっしゃいます。片頭痛患者さんの多くは発作時の痛みやこれらの随伴症状のために、日常生活や仕事に大きな支障をきたしています。さらに、発作のない時にもこれから起こるかもしれない発作に対する不安から、予定を立てるのが難しいなどの社会的負担を抱えています。世界中から取りまとめられた各種疾患の日常生活への支障度に関する調査の結果から、頭痛性疾患、とくに片頭痛は障害度の高い疾患として上位にランクされています12,13。
<出典>
7. 経済産業省 「働く女性の健康推進に関する実態調査」
8. GBD 2016 Headache Collaborators. Global, regional, and national burden of migraine and tension-type-headache, 1990-2016: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016. Lancet Neurol. 2018;17:954-76.
9. Sakai F, Igarashi H. Prevalence of migraine in Japan: a nationwide survey. Cephalalgia. 1997;17:15-22.
10. K Hirata, K Ueda, M Komori, et al. Comprehensive population-based survey of migraine in Japan: results of the ObserVational Survey of the Epidemiology, tReatment, and Care Of MigrainE (OVERCOME [Japan]) study. Curr Med Res Opin. 2021;37:1945-55.
11. 日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会監修,「頭痛の診療ガイドライン2021」,医学書院,2021年
12. GBD 2016 Disease and Injury Incidence and Prevalence Collaborators. Global, regional, and national incidence, prevalence, and years lived with disability for 328 diseases and injuries for 195 countries, 1990-2016: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016. Lancet. 2017;390:1211-59.
13. Peres MFP, Sacco S, Pozo-Rosich P, et al. Migraine is the most disabling neurological disease among children and adolescents, and second after stroke among adults: A call to action. Cephalalgia. 2024;44: 3331024241267309.
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