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Pfizer co.jp ホーム報道関係の皆さま:プレスリリース2023年日本初、複数医療機関の電子カルテデータに適用可能な薬物治療効果判定AIモデルを構築
 
日本初、複数医療機関の電子カルテデータに適用可能な
薬物治療効果判定AIモデルを構築
~電子カルテデータから薬物治療効果を抽出するモデルにより、さらに迅速なエビデンス提供へ~

報道関係各位

2023年12月5日
国立大学法人宮崎大学
株式会社NTTデータ
ファイザー株式会社

国立大学法人宮崎大学(宮崎県宮崎市、学長:鮫島 浩、以下、宮崎大学)、株式会社NTTデータ(本社:東京都江東区、代表取締役社長:佐々木 裕、以下、NTTデータ)およびファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:原田 明久、以下、ファイザー)はこの度、複数医療機関の電子カルテデータに適用可能な、肺がん患者さんの薬物治療効果を判定するAIモデルを構築しました。本モデルは、電子カルテの非構造化データを自然言語処理し、薬物治療効果を抽出するものです。
今回の研究では、宮崎大学の電子カルテデータをベースに、大規模言語モデルBERT1を用いてモデルを構築したうえで、6つの医療機関の電子カルテデータへの適用可能性と実用性を検証しました。その結果、複数医療機関の電子カルテデータに適用可能であることや、本モデルで抽出した薬物治療効果から算出した臨床研究の評価項目は、人が抽出した結果と同様の傾向を示すことを確認しました。

【背景】

電子カルテデータは、薬剤の治療効果や安全性などの臨床アウトカム取得の可能性があるものとして、活用が期待されています。一方で、臨床アウトカムに関わる多くのデータは、経過記録や画像検査レポート等のテキストに含まれており、これらの非構造化データを構造化しなければ解析は困難です。
このような課題から、三者は非構造化データを用いた臨床アウトカムの評価手法の確立に向けて、2020 年から共同研究2を進めてきました。その研究では、宮崎大学の電子カルテデータを用いて、肺がん患者さんを対象に薬物治療効果等のアウトカムを医師が評価しました。そして、その結果を自然言語処理したところ、治療効果の評価において、文章の肯定形・否定形や、文脈の情報が重要であることが判明しました。
今回の研究では、文脈情報が考慮可能な大規模言語モデルBERTを用いて薬物治療効果を判定するモデルを構築し、対象を単独医療機関から6つの医療機関に広げ、次世代医療基盤法に基づく認定匿名加工医療情報作成事業者である、一般社団法人ライフデータイニシアティブ(以下、LDI)が保有する多施設電子カルテデータベースに適用させることで、迅速かつ大規模データに基づくリアルワールドエビデンス3の創出を目指しました。研究の概要は以下の通りです。

【今回の研究の概要】

研究目的

研究方法
  1. 宮崎大学医学部附属病院に通院または入院した、肺がん患者31例の電子カルテデータを対象に医師が評価した学習データを作成し、BERTを用いた薬物治療効果判定モデルの構築手法を検討する。ドメイン特化BERT構築フレームワーク4を適用して事前学習を行い、がん治療ドメインに特化したモデルを構築したうえでファインチューニングを行う。
  2. 上記1で構築したモデルについて、次世代医療基盤法に基づき得られた6つの医療機関の肺がん患者713例の電子カルテデータに対して適用し、複数医療機関の電子カルテデータへの適用可能性を検証する。
  3. 抽出した薬物治療効果から、臨床研究で用いられる評価項目であるTTPを評価。人が抽出した結果とモデルが推定した結果を比較評価し、本手法の実用性を確認する。
研究方法

研究期間
2021年9月~2022年3月

各者の役割
宮崎大学:
ファイザー: NTTデータ: 研究結果
  1. ドメイン特化BERT構築フレームワークを適用して事前学習を行い、がん治療ドメインに特化したモデルを構築した。さらに宮崎大学の電子カルテデータでファインチューニングすることで薬物治療効果判定モデルを構築し、精度検証した(感度 0.63、陽性的中率 0.42、F1スコア 0.50)。
  2. 上記1で構築したモデルを複数医療機関の電子カルテデータに対して適用した。顕著な精度の低下はみられなかった(感度 0.54、陽性的中率 0.40、F1スコア 0.45)。
  3. モデルで推定した薬物治療効果と薬物処方等の構造化データを組み合わせて、TTPを治療ラインごとに推定した。人が抽出した結果とモデルが推定した結果を比較評価したところ、同様の傾向を示した(下図)。
一次治療(人が抽出した結果 VS モデルが推定した結果)のグラフ

これらの結果から、構築した薬物治療効果判定モデルは複数医療機関の電子カルテデータに適用可能であり、また臨床研究で用いられる評価項目を評価可能であると確認した。
今後、学習データ量を増やす等により、さらなる精度向上が見込まれる。


※図は以下の論文から転載
(Licensed under CC BY-NC 4.0 DEED ; https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/  )
Araki K, Matsumoto N, Togo K, et al. Developing Artificial Intelligence Models for Extracting Oncologic Outcomes from Japanese Electronic Health Records. Adv Ther. 2023;40(3):934-950. https://doi.org/10.1007/s12325-022-02397-7 

【今回の研究の意義と今後について】

今回の研究により、複数医療機関の電子カルテデータに適用可能な薬物治療効果判定AIモデルを構築できることを確認しました。今後、治療効果の薬剤間の比較や肺がん以外の疾患の薬物治療効果判定等に、非構造化データの活用が広がる可能性が見込まれます。多施設の大規模電子カルテデータベースから医療に関する臨床アウトカムの情報を効率的に収集して活用することができれば、さらなる個別化医療の進展や、適切な医薬品への早期のアクセス等、さまざまなベネフィットが期待されます。今後も、リアルワールドデータ利活用の有用性を高める取り組みにより、医薬品をより適切な患者さんに届け、医薬品の価値を最大化し、医療に貢献することを目指してまいります。

【結果の公表】

今回の研究結果の一部は、第62回日本呼吸器学会学術講演会(2022年4月22日~24日)、第89回日本呼吸器学会九州支部秋季学術講演会(2022年10月14日~15日)、第42回医療情報学連合大会(2022年11月17日~20日)、第91回日本呼吸器学会九州支部秋季学術講演会(2023年10月27日~28日)において発表されたほか、ジャーナルAdvances in Therapy(2022年12月、https://doi.org/10.1007/s12325-022-02397-7 )、Health and Technology(2023年2月、https://doi.org/10.1007/s12553-023-00739-1 )、医療情報学(2023年10月)に論文としてそれぞれ掲載されました。

<出典>

1 BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)とは、2018年10月にGoogleが発表した自然言語処理モデルです。自然言語処理分野のさまざまなベンチマークにおいて従来モデルの精度を上回る等、近年非常に注目されています。
https://arxiv.org/abs/1810.04805 
2 日本初、電子カルテから薬物治療効果判定に有益な情報を取得
https://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2021/2021-11-24
https://www.nttdata.com/global/ja/news/release/2021/112400/ 
3 リアルワールドデータとは、医療現場での診療行為から得られる医療情報の総称です。
リアルワールドエビデンスは、リアルワールドデータの解析から得られたエビデンスです。
4 ドメイン特化BERT構築フレームワークは、NTTデータが開発した、ドメイン特化BERTを自動で構築する仕組みです。ドメイン特化BERTは、業務領域(ドメイン)特有な用語や言い回しを含む文書に対して、類似表現を含む文書を大量に用意してBERTに追加学習を施すことで、専門性の高い文書でも高い精度を出せるようにしたものです。
https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2021/031600/ 
https://www.nttdata.com/jp/ja/data-insight/2021/032202/
 

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